28日午後1時40分ごろ、東京都練馬区大泉町3の区立大泉第一小学校(赤尾真司校長、377人)前の路上で、同校1年の男児3人が近くの車から降りてきた男に刃物で切りつけられた。3人のうち6歳の2人は首にけが。もう1人は7歳で右肘を切られて重傷とみられる。いずれも命に別条はないという。
男は事件後、乗用車で逃走したが、約50分後、埼玉県警東入間署員が現場から約11キロ離れた同県三芳町で逃走車と同じナンバーの車を発見。車内に果物ナイフ2本(いずれも刃渡り約9センチ)があったことなどから運転していた男を銃刀法違反容疑で現行犯逮捕。警視庁は傷害や殺人未遂容疑も視野に調べる。
捜査1課によると、逮捕されたのは練馬区大泉町に住む職業不詳の男(47)。男は調べに対し「ナイフを2本持っていました。悪いことには使っていません」と供述。男児への切りつけについては「知らない」と話している。
同課によると、男は精神科に通院歴があり、責任能力の有無を慎重に調べる方針。捜査員とのやり取りでも一部コミュニケーションが取りにくい部分があるという。
事件当時、児童らは十数人で集団下校中で、校門近くの横断歩道で信号待ちをしていた。目撃者らによると切りつけた男は約2時間前から車を止めていたとみられ、信号が青に変わるとナイフを振り回しながら襲撃。その直後、近くにいた交通安全指導員の男性(71)が男に立ち向かい、児童らを守ったという。
男は青色の乗用車に乗り込んで逃走したが、目撃した女性が車で追跡。車の車種とナンバーを確認して帰宅後に警視庁に伝えた。ナンバーなどをもとに緊急手配をかけたところ、埼玉県三芳町で交通事故現場の処理を終えたばかりだった県警東入間署地域課の男性巡査(27)が国道254号を東京方面から走ってくる手配ナンバーの車を確認。身柄を確保した。道路が渋滞気味だったことでナンバーや車種が識別しやすかったとみられる。
現場は西武池袋線大泉学園駅から北東に約2キロの住宅街で、東京外環道のすぐそば。
事件を受け、周辺の学校は集団下校などの対応を取った。被害男児の3人はクラスメートで、同じクラスの女児を持つ母親(33)は「いつもより娘の帰りが遅いので心配していたら、友達からのメールで事件を知った。駆けつけると酸素マスクをしている男の子がいて、服装のおなか付近に血がついていた」と涙ながらに語った。【喜浦遊、松本惇、山崎征克】
2013年06月28日 23時53分