過熱する「憎悪」:識者に聞く 広い視野で社会見て−−作家・雨宮処凛さん

毎日新聞 2013年06月27日 東京朝刊

 差別的なデモを苦々しい思いで見ている。その一方で、彼らも時代が生み出したものなのだとも思う。

 私は1997〜99年に右翼団体にいた。オウム真理教の事件や阪神大震災が起こり、戦後の繁栄が崩れていた。学校で「頑張れば報われる」と教えられたが、頑張っても貧乏なフリーターで生きづらかった。右翼は米国や戦後民主主義を批判し「社会不安の原因は構造的なもので、個人が悪いわけではない」と主張していて分かりやすかった。居場所ができて救われた思いがした。

 雇用が破壊され、中国や韓国がリアルな脅威に見える今、ヘイトスピーチを行う団体が会社などに帰属できない寄る辺のない若者の受け皿になっているように思う。「中韓が悪い」と言えば考えずにいられるからだろう。

 彼らに掛ける言葉はない。右翼だったころの自分も「やめろ」と言われても行き場がなく「死ね」と言われるに等しかった。広い視野で社会を見てほしいと思う。私は左翼と憲法を討論することになって初めて日本国憲法をきちんと読んだ。反対側を見れば分かることもあるはずだ。

 法規制には慎重な立場だ。活動を潜在化させるだけで、根本的な解決にはつながらないのではないか。(談)

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 ■人物略歴

 ◇あまみや・かりん

 1975年北海道生まれ。2000年、自伝的エッセー「生き地獄天国」でデビュー。若者の生きづらさをテーマにした著作を発表している。「反貧困ネットワーク」副代表。

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