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小学校に47歳刃物男、交通誘導員が守った
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区立大泉第一小学校校門付近で発生した児童切りつけ事件。閑静な住宅街に、子供の悲鳴と泣き声が響いた=28日午後、東京都練馬区 28日午後1時40分ごろ、東京都練馬区大泉町3丁目の区立大泉第一小学校の校門前路上で、集団下校していた同小1年の男子児童3人が、男に首や腕などを刃物で切り付けられて重軽傷を負った。男は車で逃走したが、約40分後に埼玉県警が同県三芳町内で確保。車内から刃渡り約9センチの果物ナイフ2本が見つかり、警視庁が銃刀法違反の疑いで男(47)を現行犯逮捕した。殺人未遂や傷害の疑いでも調べている。
閑静な住宅街が一転、騒然となった。集団下校していた1年生児童十数人が、校門前の横断歩道で信号待ちしていたときだった。駐車していた青い乗用車から男が降りると児童に近づき、ポケットからナイフを出して振り回し始めた。
「きゃー、助けて!」。叫び声を上げて逃げる児童に、男は刃物を振り上げた。「痛い!」。首や腕から血を流した児童が路上に倒れた。
ここで、横断歩道で交通誘導をしていた広戸勇さん(71)が敢然と男に立ち向かった。身の危険を顧みず、手にしていた約1メートルの誘導用の旗を振り上げて応戦した。数秒間もみ合った後、男は広戸さんの決死の覚悟にひるんだのか、車に乗り込み逃走した。
救急車が到着するまで広戸さんが、しゃがみこむ児童らの首にハンカチを当てて止血。1枚では足りないほどの出血量だったが「大丈夫だよ」と励まし続けた。7歳の男児1人が右ひじに深い傷を負う重傷、6歳の男児2人が首に軽傷を負ったものの、命に別条がなかったのが不幸中の幸い。広戸さんの活躍で、最悪の事態は回避された。
広戸さんは「怖いというより、子供たちを守らなければと必死だった」と振り返った。
男は車で埼玉県方向に向かったが、ここでも一般人の協力が「スピード逮捕」に結びついた。近くで別の車に乗っていた女性が男の車を追跡し、ナンバーや車の特徴を警視庁に情報提供したという。
警視庁と埼玉県警が連携して行方を追っていたところ、午後2時20分ごろ、事件現場から約10キロ離れた三芳町で埼玉県警の男性巡査が東京方面から走ってくる青い乗用車を確認し、男の身柄を確保。午後3時過ぎに警視庁の捜査員に引き渡した。
警視庁によると、男は小学校の近くに住んでいる。「ナイフ2本は持っていたが、悪いことはしていない」と供述。事件について「知らない」と話しており、警視庁は動機や刑事責任能力の有無を調べている。
★「不審者侵入時の危機管理マニュアル」学校敷地外は想定せず
2001年の大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件を受け、文部科学省は「不審者侵入時の危機管理マニュアル」作成などを促してきた。大泉第一小でも作成していたが、学校敷地外で発生した事案は想定していなかった。今回は練馬区教委が近隣の小中学校12校に児童、生徒を校内にとどまらせるよう指示。犯人とみられる男の身柄確保を受け、解除した。練馬区教委の岩田高幸教育総務課長(57)は「学校敷地外での対策もマニュアルに盛り込むことを検討したい」と話した。