取材・文/ 松本創(ジャーナリスト)
【第2回】はこちらをご覧ください。
時間無制限、何でも質問OK、フルオープンの場
「僕がやってるこの囲み取材は、たぶん日本の政治家では(他に誰も)やってない、ある種特殊な取材。時間無制限で、質問も何でもOKだ」
「こういう(特殊な)囲みをやってるという認識の下に、記者は記者なりの矜持を持って権力者側と対峙してもらいたい」
「僕は質問を受けて、『コメントはしません』とか『後日ペーパーにまとめます』ということをやらなかった。やらないという主義で(囲み取材を)やってきた」
5月20日、いったん中止を宣言した囲み取材をやっぱり続けることにした際に橋下徹が記者団に語った言葉である。
いずれも彼が常々誇らしげに語っていることだが、付け加えて言えば、記者クラブ加盟社でなくとも報道関係者であれば誰でも参加でき、その模様は全編動画でネット上に公開されるという「フルオープン」の場である。それを、登庁日には基本的に毎朝夕やるというのだから、取材を受ける側からすれば思いきった、ずいぶん豪胆なルール設定だ。
「それが国民の知る権利への奉仕だと思っている」と橋下はツイッターに書いている。なるほど、一理ある。記者会見やインタビューになかなか応じようとしない政治家や組織よりも、よほど国民・市民・有権者への「説明責任」を果たしていると言える。
報道機関にとっても、取材の機会は多いほどいい。木で鼻をくくるような官僚的答弁や「その件は持ち帰って・・・」みたいなその場逃れを繰り返されるより、明快に即答してくれるほうがよほどいい。意見や立場やキャラクターがわかりやすく伝わり、ニュースに仕立てやすい。良いことずくめのように思える。
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