重要法案の多くを成立させられないまま通常国会が閉幕した。与野党の駆け引きに終始し、法案審議をほとんどせずじまいだった参院の責任はとりわけ重大だ。こんなことを続けていれば参院不要論に拍車がかかるばかりだ。
政府が提出し、与党が後押しし、野党第1党も賛同する法案が廃案になる。どうしてそういうことが起こるのか。一般人には理解不能なできごとだ。
会期最終日の参院本会議は、発送電分離に向けた電気システム改革を進める電気事業法改正案、不正受給を防ぐ生活保護法改正案、海賊対策法案などが上程される見込みになっていた。
ところが生活の党など中小野党が提出した安倍晋三首相の問責決議案が先行して採決されることになり、野党の賛成多数で可決された。問責後は政府提出法案の審議はしないとの慣例に従い、法案採決はせずに会期切れとなった。
問責に反対すれば政権を信任したことになる民主党は法案成立を断念した。海江田万里代表は法案優先を望んだが、7月の参院選に向けて対決色を強めたい輿石東参院議員会長を説得できなかった。党首としてあまりに力不足だ。
昨年夏、似たような状況に置かれた野党時代の公明党は消費増税法の成立を妨げたくないとして首相問責決議案の採決に欠席するという苦渋の決断をした。
今回の民主党も棄権という選択肢はあり得たし、生活などに決議案撤回を働きかける手もあった。選挙協力への悪影響を懸念したようだが、抵抗野党のレッテルを貼られる方が痛手ではないか。
与党の対応も褒められたものではない。自分が提出したわけでもない問責決議案の先行採決を容認すれば法案廃案の可能性があることは想像できたはずだ。
民主党を苦境に追い込んだという意味では巧みな国会戦術だったが、本当に法案を成立させたいならば与党が泥をかぶる度量があってもよかった。
第2次安倍内閣で最初の通常国会で成立した法律は63本にとどまった。参院選を控えて会期延長が難しいことから政府が法案提出を抑制したとはいえ、やや寂しい結果だった。
首相は国会閉会に際しての記者会見で「スピード感を取り戻すには(衆参両院の)ねじれを解消しなくてはならない」と力説した。その是非を問う参院選が始まる。
安倍晋三、海江田万里、輿石東
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