CPIが7カ月ぶりにマイナス脱す、生産は4カ月連続上昇-5月 (1)
6月28日(ブルームバーグ):5月の国内経済統計は、全国の消費者物価指数 が2012年10月以来7カ月ぶりにマイナス圏を脱するとともに、鉱工業生産指数 は4カ月連続で前月から上昇した。エコノミストからは、円安などに伴い緩やかながらもデフレ圧力の緩和や生産基調の改善が進みつつあるとの見方が出ている。
総務省が28日発表した消費者物価の全国指数(生鮮食品を除いたコアCPI)は前年比横ばいとなった。先行指数とされる東京都区部の6月は前年比0.2%上昇し、2カ月連続のプラスとなった。ともにブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの事前予想と一致した。コアCPIの前年比は年後半にかけて、円安に伴う燃料価格の上昇などを背景に緩やかな上昇が見込まれている。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは発表内容を受け、エネルギー価格の影響を受けない米国型CPIにも改善がみられることから「景気回復の影響が出始めている可能性がある」と指摘。都区部の結果などから「デフレ圧力が和らいでいることを示唆する」と受け止めている。
一方、経済産業省が発表した鉱工業指数速報(季節調整済み、2010年=100)によると、5月の生産指数は前月比2.0上昇の97.8となり、4カ月連続で上昇した。伸び率は、ブルームバーグ調査の予想中央値である同0.2%上昇を上回った。
先行きの生産動向を示す製造工業生産予測指数は、6月が前月比2.4%低下、7月は同3.3%上昇と一進一退が見込まれており、経産省は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」との基調判断を据え置いた。同省は先に鉱工業生産指数の基準年を従来の05年から10年に改定した。
失業率は緩やかな低下へ一方、雇用情勢は、総務省が発表した労働力調査によると、完全失業率 (節調整済み)が4.1%と前月と同水準だった。また、厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)は0.90倍で、前月を0.01ポイント上回った。
BNPパリバ証券の渡辺誠エコノミストは労働需給をめぐる構造的要因に加え、「国内景気が回復に転じていることが、わずかながらも就業者数が増加していることにつながっている」と指摘。今後も、国内景気の回復のほか、高齢化に伴う労働人口の減少から「失業率は緩やかな低下基調を続ける」と予想している。
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更新日時: 2013/06/28 11:59 JST