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5月鉱工業生産は4カ月連続の上昇、電力向け押し上げ

2013年 06月 28日 11:18 JST
 
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[東京 28日 ロイター] - 経済産業省が28日発表した5月鉱工業生産指数速報は前月比2.0%上昇の97.8となり、4カ月連続の上昇となった。ロイター予測の0.2%上昇を大きく上回った要因として、電力向けタービンやボイラーといった大型機械の生産や内需向け製品の生産が押し上げがある。

他方、自動車生産をはじめ関連業種の生産は、前月の反動減や国内外の販売伸び悩みで振るわなかった。

5月の生産は、国内需要向けが押し上げた。原子力発電所停止に伴う火力発電の増加を背景に、はん用・生産用・業務用機械工業が増加。国内電力向けの蒸気タービンやボイラなどが寄与した。

電気機械工業では、国内産業用太陽電池モジュールや変圧器、冷蔵庫などが好調だった。化学工業も、化粧品を中心に上昇した。

低下したのは、自動車関連業種が多かった。普通乗用車が北米・欧州向けで低調だったほか、国内販売もやや振るわず、小型乗用車が低下。自動車内装関連のその他工業や、自動車用鋼帯生産など鉄鋼業が低調だった。

生産予測指数は6月が前月比2.4%低下、7月が同3.3%の上昇と、一進一退。それでも予測指数を前提とすると、4─6月は前期比1.8%の上昇となる見通し。

基準改定によりウエートの高まった輸送用機械は、裾野が広く全体の生産に影響が大きい。その生産は、5月に続き6月もさらに低下幅を拡大するが、7月は反動増で再び上昇する見通し。主力の北米市場は好調で、経済産業省はこれまでの増産局面が転機を迎えたとはみていない。

5月は、出荷指数が前月比0.8%上昇、在庫指数は0.3%低下しており、在庫に積み上がりの動きは見えない。生産全体のけん引役である自動車生産が一服したとしても、生産が変調をきたす可能性は低そうだ。   もっとも、生産レベルは前年に及んでおらず、依然として低い。経済産業省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」として据え置いた。

鉱工業生産について、市場では「季節調整のゆがみがあるので、5月のプラス2%というのは割り引いてみるべきだが、生産は上向き方向だ。円安効果に加え、米国を中心に海外景気が底堅く、電子デバイスなど部品の生産が伸びている」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)と指摘されている。

伊藤忠経済研究所は「鉱工業生産の回復基調が明確になってきた。円安を受けた輸出持ち直しと内需拡大により、今年度中の鉱工業生産は拡大を継続する見込み」とみている。

一方、鉱工業生産統計を見る場合の中長期的な視点として、バークレイズは「高齢者社会では相対的にモノよりもサービスを嗜好しやすく、消費と鉱工業生産の連動性が弱くなる要因となっている。団塊世代の65歳到達(退職)が集中する2014年に向けて、日本の景気を鉱工業生産中心に評価すると、過小評価するリスクがあることにくれぐれも注意が必要」と指摘している。

(ロイターニュース 中川 泉;編集 田巻 一彦)

*内容を追加して再送します。

 
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6月28日、 経済産業省が発表した5月鉱工業生産指数速報は前月比2.0%上昇の97.8となり、4カ月連続の上昇となった。川崎市で1月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
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