気づいたらなんかいた女。



小学生の時ある人間の死体を見て
抑えられない快感と興奮を感じてから、
生きていたものの死体を見るといつのまにか濡れてるような変態女。

バイセクシュアル。

ギャルの格好を好んでしてる。

はたち。

美人。

友達も彼氏もいない。

誕生日にカラスの死骸を上げると発狂して喜ぶ。





幼馴染なんてかわいく呼びたくない。


腐れ縁。






仲がいいかどうかなんて
考えたことない。

お互い好きじゃないし。



だけどわたしの数少ない理解者だったりする。
わたしもこの女を理解してる。
許しているしわたしも許されてる。

あいつがわたしに何をしてきても
わたしは全部許すし、あいつもわたしが何をしても全部許す。


何されてもってどこまでならいいの?って聞かれるけど

限度なんて考えたことない。
考えるほどの仲じゃない。






「恋人なの?」



そんなわけない。
こんなのと付き合える器なんてわたしにはない。






4年前に遠くに引っ越して
それから最近になって何度かあってる。


一回目は車で迎えに来てくれて
道に迷って埼玉のホテルで一晩。




「モモ、かわいくなったね。」って。



ベッドの中でずっと抱き合ってた。





4年ぶりだって言うのにろくな会話もしないで、
ただ肌をくっつけあって、すりよせて、

それだけで4年なんてどっかいった。



くちびるも顔もあそこも肌のうちって感じで、
そういう風な感覚だから

キスとかはしていたのかも。
おぼえてない。



そんなこと覚えててもね。 



ぜんぶ、からだぜんぶをお互いにすりよせて
手とか足とか関係なく、肌を、体の表面全部を
すりこむみたいに抱き合ってた。


そういう印象。  …?

かな。




「肌のケア、つづけてるんだ。」
って言ったら、 

「ふふ」ってわらう。


その鼻で笑う癖、変わってないって、懐かしくて

「ばか」って言ってやった。







2回目に会ったのも、そういう感じ。

そのときはわたしがこの女の家に泊まりに行って





わたしが疲れて横になってたら
後ろから肩に噛みついてきた。



噛み癖。


あの方と同じ、噛み癖。



興奮したり、気持ちが高ぶったりしたときに
体中に噛みつく癖。





それから胸、脇、おなか、足ってかじられる。






痛い。








本当に昔からなにも変わってなくて、




「おいしい?」って聞いたら、

「とろける」だって。


ほんとばかだね。






その時には、あの方の噛み跡も薄くなってしまっていたけど、

「これ、誰の口?」って聞かれて、


わたしはこいつにあの方の話をしてみた。







聞いているんだか聞いていないんだか、
何も言わずにただ体をわたしにすりよせながら

「ふふ」って言って、首を痛いくらいに吸ってきた。



了解、ってこと。










わたしとこいつの間に会話はいらない。

わたしはもしかしたら、この女に愛情を持っているのかもしれない。



だけどそれは、
あの方に対してのそれとは少しだけ違う。



大事な存在だけど、愛しているのかもしれないけど、


ううん、

愛してるけど、これはあの方とは違う愛。
ただの空気。




うまく言葉では言えない。
言いたくない。
言っちゃいけない。





あいつは、ただの腐れ縁。



でも







あいつはたぶん今日もわたしのことを思って濡らしてる。