「いつものお前が絶対に成しえないことで、
俺のためにしたことならば、それはいいことだ、
というのは覚えておくといいかな。」

「社会的に、一般的に、常識的に
おかしいと軽蔑されることほど俺は好きだよ。」


こういう感じだったかな。
すこし酔ってらっしゃって、高ぶった声色でお話をされてた。



「はい。」

とだけ答えて、うなずいた。




それからわたしがしたことが
どんなに今までのわたしを否定して、
どんなにわたしのプライドを傷つけて、
どんなにわたしを虚無でおおったとしても、

わたしを高ぶらせた事実も
あの方が多少なりとも満足された事実も変わらない。



あの方が仰って、あの方がわたしに与えてくださった命令だったから
わたしはプライドも自分自身でさえも捨てられた。





だってあの方だから。


そもそもわたしは自分自身が何を思っているのか、
素直に向き合うことがその時できなかった。
今まで自分はこんなこと、絶対しないと決めていた。
だけど、

だから、 あの方のために
あの時間に全部をささげたの。
今までの自分も、プライドも、身も心も。




あの方はそれを分かってくれていた。
だからあんなにもやさしい目でわたしを見てくれていた。
いたわってくれた。ほめてくれた。
わたしのために、時間をくれた。




社会からの軽蔑があの方の快楽になりうるなら…。



貴方はこれは極端だとわたしをなだめるでしょうか。
ですがわたしは貴方の信用や愛情がほしいんです。
他の誰でもなく、貴方だけに。

貴方はあのとき、わたしに「報い」を与えてくださいました。

それがどんなに幸せだったことか。


それがわたしの思いだと、貴方は受け入れてくれるのでしょうか。
これがわたしの見せ方です。






こんなわたしを軽蔑する?
一人の人間のために、プライドも社会的立場もなげうって
自分に虚無をあおったの。

いつものわたしなら絶対にやらない。






あの方のためです。

わたしは貴方のペットになりましたから。



貴方に全てを捧げて、預けて、もう、ぜんぶです。