あの日から、わたしは自分の変化を自覚しつつある。



まず、多頭飼いについての意識が少しだけ変わった。

わたしは多頭飼いって不誠実だって思ってた。
一人の男性が何人もの女の子と関係を持つなんて、って。


だけど、あの方のペットになって、
あの方と感情でお話をするようになって、

もうある意味この関係こそ誠実といえるんじゃないかって思えてる。



あの方は、わたしのことを完全に受け入れてくださってる。
それで多少なりとも信用してくれているのかもしれない。
わたしは今の状況に不誠実さを感じたことは一度もないの。


わたしの話をしっかり聞いてくださって、
深意を読み取ってくださって、
気持ちを理解しようとしてくださって、
ひとつひとつに言葉を返してくださる。
今のわたしに分かりやすいように、適当に距離をおいて、抽象めいて
でも確実に言葉にしてくださる。
わたしの変化に、忠誠心に、敏感に。
読み取って、評価してくださる。
そのうえでいけないところを指摘してくれて注意してくれて叱ってくれて、
わたしにとって、あの方自身にとっての有益に導いてくださる。


これをわたしは感じていて

こんなことをしてくれている人、今までいなかった。

これのどこが不誠実なんだろう。



ペットの私にこうなんだから
メイドや奴隷や、それ以上の方にはもっともっと深くお話をされてるんだろうって思う。

つまり「誠実×複数」っていうこと。
全部が誠実なのかなんて、
わたしはわたし自身とあの方の関係しか知らないから分かるわけがないんだけど。


その「誠実×複数」にわたしは誠実さを感じてる。

こんなことができるなんて、
むしろすごい。


あの方の心の広さも、思慮深さも、賢さも
すべてがすごい。
あの方だからこその「誠実」何だと思う。



これはわたしがずっとかんじていること。


だからわたしはこの方にだけは嘘はつかないし
この方の前だけでは素の自分でいるって決めてる。

というか
あの方に嘘をつくことなんてわたしにはできないし
あの方の前で自分を作るなんてこともできない。

あの方はわたしの全部を知ってらっしゃって
だから今更自分を作るなんてできるわけがない。



「今夜は誰のお相手をしてらっしゃるんだろう」

なんて考えることも減ったかも。
そんな隙がないくらい、貴方はわたしを満たしてくださっています。

他の女の子の存在すら、頭の中に入らなくなってる。

入ってきても、
「それでもわたしは満たされていて、幸せなんだ。」

って自然と思えて
それがいいのか悪いのかは別として
前より辛いって思って泣くことは減ったんだ。

嬉しくて嬉しくて涙が出る。






あの方の誠実さゆえに。











それからもうひとつ。

わたし、あの方に出会う前よりも自分の気持ちが生まれてくる瞬間に
多く出会っているような気がする。

「あ、これ、わたしの気持ちだ。」

って気づくの。



不思議だよね。

わたしの自惚れなのかもしれないけど、
ちょっとだけ成長したような気がする。

自分の気持ちに気づくって、つまり
あの方の言う「素直でいること」に近付いてるってことじゃないかなって思うの。


それはすごくうれしくて
その瞬間は、今までにないくらいに新鮮。

生まれたての、自分の頭で考えていない「気持ち」だもんね、



「あ、」ってなるの。





これをあの方に伝えたらなんておっしゃるんだろう。

「まだまだ甘いよ」って厳かにつっぱねられるのかな。

貴方の「正解」が何なのかは
わたしにはまだ見当もつきません。

だけど最近はすこしだけ分かってきた。
何かしらあの方に費やしたり、あの方への気持ちに近付こうとする努力や成長を
あの方はけなしたりはしないってこと。
ただ、それがわたしにとってあの方自信にとっていけないことならば
あの方はわたしを諭してくれる。





答え合わせの瞬間がこんなにどきどきするなんて
わたしは初めて知りました。


自分に素直になるなんて、一生できないって思っていましたから。
貴方のおかげでわたしは変わりつつあります。

「染まる」っていう言い方がぴったりかもしれませんね。

貴方に染まるなんておこがましいでしょうか。








それでも今わたしが穏やかな気持ちなのは

貴方のおかげです。