特集ワイド:パソコン遠隔操作事件、誤認逮捕次々 虚偽自白からの護身術

毎日新聞 2012年11月06日 東京夕刊

 逮捕された本人にできることはあるのか。秋山弁護士は「逮捕されたらすぐに当番弁護士を呼ぶこと」を挙げる。「警察は逮捕した容疑者に対し、弁護人選任権と黙秘権があることを告げる義務がある。逮捕されると同時に『当番弁護士を呼んで』と言っていい。犯行は身に覚えがないことを主張した後は『取り調べは弁護士と相談してから』と黙秘する方法もあります。当番弁護士は早ければその日のうちに、遅くとも次の日には駆けつけてくれます」

 当番弁護士に相談し、IT事件などそれぞれの分野に強い弁護士を探してもらえる場合もあるという。

 碓井教授は「逮捕直後は動揺し、正常な判断ができないことも多い。重大な決定は一人でせず、弁護士など誰かと相談し、時間をかけることが大切だ」と助言する。また「ストレス回避が難しい環境に長期間置かれた人は、学習性無力感といって、そこから逃れる努力すらできなくなる。誤認逮捕された人にとって一番危険なのは孤独感。家族や支援者が『必ず助ける。信じて待て』と弁護士を通してメッセージを送るなど、絶望させないことも大切」という。

 今回、19歳の男性は約1カ月半、大阪府と福岡市の男性も1カ月近く勾留されている。もし自分だったら、自白せずにいられただろうか−−到底自信がない。

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