2013年1月22日(火)

難民申請過去最多 アフリカ人ホームレス続出

阿部
「今、東京の街にアフリカ人のホームレスが現れています。」

鈴木
「去年(2012年)政情不安などの理由で、日本政府に難民として認めてもらおうと申請した外国人の数は2,000人を超え、過去最多になりました。
これまで少なかったアフリカ諸国からの申請者もここ数年急増しています。」

阿部
「難民を支援するNPOによりますと、今こうしたアフリカ人がホームレスになるケースが続出しているといいます。」

“日本でアフリカ人ホームレス続出”

夜の新宿をさまようアフリカ人男性。
去年11月にナイジェリアから来日したといい、現在法務省に難民申請中です。
ナイジェリアではイスラム過激派によるキリスト教徒を狙ったテロや襲撃が相次いでいます。
キリスト教徒であるこの男性の父親と弟も去年、殺害されたといいます。
命の危険を感じ、知人から日本行きのチケットをもらい、来日したと話しています。
持っていた現金4万円は1週間でなくなり、以来ホームレスになったといいます。

「日本の冬は寒い。
寒いのは苦手だ。
どこか住める所がほしい。」

日本に来て初めて食べた食事の牛丼。
今は食べられないといいます。

「これは肉がのっていてうまかった。
でも今はお金がないからね。」

難民申請後6か月間は、就労が許可されません。
その間は、政府から生活費が1日1,500円、住宅費が4万円支給される制度があります。
この男性も申請していますが、まだ支給されていません。
申請者が増えたため、審査に時間がかかり、支給まで3か月近くかかることも珍しくありません。

男性は新宿駅に向かいます。
駅ビルの洗面所で、シャワー代わりに水に濡らしたハンカチで体をぬぐいます。
駅の一角で横になる男性。
こうして転々としながら朝まで過ごすといいます。
日本でどうやって生きていけばいいのか、男性は同じアフリカ人のホームレスから聞いたNPOに駆け込みました。

難民の生活を支援しているNPO難民支援協会です。
ホームレスとなったアフリカ人が助けを求めてやってきます。
その数は20人に上ります。

「ナイジェリアから来ました。」

「ウガンダから来ました。」

このNPOでは、政情不安でアフリカ諸国からの難民が世界的に増える中、日本を目指す人も増えたのではないかと見ています。

まる1日何も食べていないという男性に簡単な食事が提供されました。
電子レンジであたためたサバの缶詰です。
食事はNPOや通りすがりの人からの施しに頼っているといいます。

「住む所や食べ物、何かすることがほしい
将来が不安だ。」

事務所が開いている日中の時間帯は毎日、アフリカ人のホームレスがイスの上で眠っています。
中にはここで倒れ、救急車で運ばれた人もいます。

難民支援協会 石井宏明常任理事
「これだけ多くの人がホームレスになっているのは初めて。
かなり危機的な状況にまで来ていると思います。」



難民を支援するNPOなどでは、ホームレスの難民申請者に無償で部屋を提供しています。
部屋の数を増やしていますが、追いつかない状況です。



難民申請者の急増にどう対応したらいいのか。
先週、国内の難民を支援する13のNPOが集まりました。
会合では、NPOの資金力では今の状況に対応できないとの声が上がりました。



難民支援協会 石井宏明常任理事
「我々にとって、ものすごく厳しいですよ、ホームレス問題。
助けてくれと言われても、これ以上できないってホームレスになることわかってて追い出すわけでしょ…。」

難民申請直後から最低限の生活は保障されるべきだ。
そのための新しい法律が必要だとの提言を出すことにしました。

難民支援協会 石井宏明常任理事
「今のままいけば、より多くの人が路上にあふれてしまって、怖いのは我々もサポートが尽きてしまう。
支援できる資金がなくなってしまう。
そうなったときに一体何が起きるか。」

先進国の中で難民の認定数が少ない日本。
難民認定を管轄する法務省は、難民申請の急増にどう対応するか議論が必要だといいます。

法務省入国管理局 難民認定室 簾内友之補佐官
「日本に、アメリカとか豪州と同じ受け入れの基盤が備わっているかといえば、若干そこは疑問があるかな、という気もしますので、政府として日本社会全体の問題として難民の保護を受け入れるか議論が必要。」


故郷から遠く離れた日本で、夜の街をさまようアフリカ人ホームレス。
どう向き合うのか対応が問われています。

鈴木
「欧米などの先進国の大半では難民申請者は、申請直後から働くことが認められるか、最低限の生活が保障されています。
いずれでもないのが日本の問題だと指摘する専門家もいます。」

阿部
「急増する難民申請者への対応は、今後大きな課題となっていきそうです。」

この番組の特集まるごと一覧 このページのトップヘ戻る▲