論点:生活保護とギャンブル

毎日新聞 2013年05月17日 東京朝刊

 だが「声」にならない思いへの感受性を切り捨てるのは危うい。「見えるもの、聞こえるものが存在するもののすべて」という考え方は、社会を非常に薄っぺらにする。

 ネット上には無責任で極めて「私」的な発言が泡のようにあふれているが、それを多数意見だと捉えるのも間違いだし、「公」を成す言説と捉えていいのかは疑問だ。

 現代において「公」が持つべき力とは何か。「声なき声」をどうすくい上げ、いかなる「公」を作り上げるのか。もっと真剣に議論しなくてはならない。議論こそが「公」としての社会を作る。そうした場を生みだすことこそ、コミュニティーの「公」を代行する市や議会の責務であり、メディアの責任でもある。【聞き手・中村かさね】

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 ■ことば

 ◇小野市福祉給付制度適正化条例

 4月1日に施行された。生活保護費や児童扶養手当の不正受給防止と、受給者がパチンコや競馬などにつぎ込むことの防止が目的。ギャンブルに浪費し、生活に支障が出ている受給者の情報を市に提供することを市民の責務と定めた。保護が必要な人を見つけた場合の情報提供も求めている。小野市によると、条例制定の意向が示された今年2月22日以降、2700件を超す意見が寄せられ、賛成が約6割。日本弁護士連合会は「福祉制度が許容していないプライバシーの侵害に当たる」と条例の廃止を求める声明を発表している。

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 「論点」は金曜日掲載です。opinion@mainichi.co.jp

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 ■人物略歴

 ◇ほうらい・つとむ

 1946年生まれ。関西大卒。99年、会社員から小野市長選に出馬し初当選。現在4期目。行政経営戦略として顧客満足度志向、成果主義などを掲げる。

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 ■人物略歴

 ◇みちなか・りゅう

 1949年生まれ。専門は社会保障論。大阪府立大大学院博士課程修了。ケースワーカーを経験。厚生労働省社会保障審議会生活保護基準部会委員。

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 ■人物略歴

 ◇さとう・けんじ

 1957年生まれ。専門は歴史社会学。メディア論や社会意識を研究。法政大助教授などを経て2005年から現職。著書に「ケータイ化する日本語」など。

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