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【社会】

がん治療で滞在韓国女性への退去命令取り消す 名高裁

2013年6月28日 01時28分

 不法残留で退去強制命令を受けた名古屋市在住の韓国人女性金貞淑(キム・ジョンスク)さん(52)が、日本でがん治療を続けるため国に命令の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、名古屋高裁であった。加藤幸雄裁判長は「文明国家である以上、生命にかかわる病人に配慮を尽くすのは当然」と述べ、原告敗訴の一審判決を取り消し、請求を認めた。

 加藤裁判長は、韓国への転院はカルテの翻訳や再検査などで多大な負担がかかると指摘。「闘病の苦痛や負担を軽減するには、現在の病院で治療を継続するのが最も適切」と述べ、在留特別許可を与えなかった国の判断は違法と結論付けた。

 判決によると、金さんは1999年に生け花を学ぶため来日し、5年後に在留期限が過ぎても滞在。美容院で働いていた2010年に愛知県警に摘発され、11年に退去命令を受けた。摘発前に胸腺がんの手術をし、がんの転移も見つかったため日本での治療を望んでいた。今年1月の名古屋地裁判決は「韓国でも治療は可能」と訴えを退けていた。

 判決後に会見した金さんは「裁判所の判断に心から感謝します。今後も名古屋で抗がん剤治療を受けたい」と話した。金さんの代理人の宮崎真弁護士は「がんで困っている人の訴えに、きちんと向き合った画期的な判決。互いに配慮して生きていこうというメッセージにも受け取れる」と評価した。

 名古屋入国管理局は「今後の対応は上級庁と協議して考えます」とコメントを出した。

 (中日新聞)

 

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