生活保護法:改正案廃案、給付削減だけ先行

毎日新聞 2013年06月26日 22時04分(最終更新 06月26日 23時39分)

 生活保護法改正案が26日、参院での安倍晋三首相に対する問責決議可決の余波で廃案となった。同法案は不正受給への罰則強化など「締め付け」を狙う一方で、やはり廃案となった生活困窮者自立支援法案とともに失業者らの就労・自立を支援する側面もあった。政府は既に決めた8月からの保護費減額については両法案の成立を前提としていたが、廃案により保護費カットだけが残る形となった。

 8月以降、保護費のうち生活費にあたる「生活扶助費」が3年かけ最大10%減額される。小学生と中学生の子どもがいる都市部の40代夫婦の場合、月額(現行22万2000円)が8月には21万6000円、2015年度には20万2000円に下がる。

 にもかかわらず、両法案の廃案で就労自立給付金の創設なども見送られる。受給者の労賃の一部を積立金とみなし、保護を抜けた際に支給するものだ。

 廃案との結果に連合は「生活困窮状態から脱却できるセーフティーネットを構築するに至らなかったことは極めて遺憾」との談話を出した。困窮者支援に取り組む社会福祉士は「課題はあるが、法案には必要な就労、学習支援が盛り込まれている」と指摘した。一方、受給者の身体障害者の男性(52)は「物価を上げようとしながら保護費を減額するのはおかしい。減額もやめるべきだ」と話す。

 もっとも、生活保護法改正案は申請時に扶養義務がある親族の状況を文書で提出することを義務付けるなど、受給のハードルを上げかねない内容も多く含まれている。NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛代表理事は「廃案を歓迎したい」と評価した。ただ、各地の支援団体には法改正に先行して自治体が締め付けを強めているとの情報が多数寄せられており、「再提出される法案はさらに厳しい内容になるのでは」との不安も広がっている。【遠藤拓、佐藤丈一】

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