ヘイトの現場から:/下 カウンター活動、現場で抗議 「対話を」思い届くか
毎日新聞 2013年06月27日 大阪夕刊
元公立高校教員で詩人の在日コリアン、金時鐘(キムシジョン)さん(84)は「戦前、戦中についての歴史教育が欠落している。多少の基礎的勉強があれば、下劣きわまる言い方はありえない」と指摘する。それはヘイトスピーチに心を痛める多くの日本人や在日コリアンにも共通の思いだ。歴史を学ぶイベントが計画され、在日の歴史を解説するサイトが開設されるなどしている。
カウンター活動参加者らは来月14日に大阪で各国の人々と共に歩くパレードを計画している。準備に忙しい在日3世の男性(41)はヘイトスピーチは批判するが、そうしたことをする人に「飲みに行こう」とも呼び掛け続けている。「彼らが何を考えているのか、一人ずつ対話していきたい」。その思いは伝わるだろうか。(この連載は、栗田亨、松井豊、湯谷茂樹が担当しました)
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■ことば
◇海外のヘイトスピーチ規制
「ユダヤ人くたばれ」などの文言を民衆扇動罪として処罰の対象とするドイツのほか、カナダ刑法は「公共の場で意見を伝達することで特定集団に対する憎悪を扇動すること」を禁じている。東京造形大の前田朗教授によると、ヘイトスピーチは、フランスやオランダ、エジプト、ベトナムなど欧州、アフリカ、アジアの国々で規制されている。