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iPS臨床―過剰な思惑は禁物だ

iPS細胞(人工多能性幹細胞)による治療を人で試す臨床研究が、世界に先駆けて日本で承認された。これまでの医療で十分な治療法がなかった難病の患者らは、再生医療による新たな[記事全文]

国会の改革―選挙制度にとどめるな

衆院議長のもとに有識者らによる諮問機関を設け、定数削減と選挙制度改革の検討を進める。安倍首相が、自民党の石破幹事長にこう指示した。昨年11月、自公民3党が選挙制度の抜本[記事全文]

iPS臨床―過剰な思惑は禁物だ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)による治療を人で試す臨床研究が、世界に先駆けて日本で承認された。

 これまでの医療で十分な治療法がなかった難病の患者らは、再生医療による新たな治療法の開発に期待を寄せている。

 気になるのは、国の成長戦略の柱の一つにしたい安倍政権の思惑が過熱気味なことだ。この技術はまだ、有効性どころか、安全性さえ未確認である。

 成果を急がせたり、逆に小さな挫折で冷淡になったりということは百害あって一利なしだ。ひいきの引きたおしで「大型新人」をつぶしてはならない。

 iPS細胞は、京都大学の山中伸弥教授が開発し、ノーベル賞受賞につながった。皮膚や血液などの細胞に特定の遺伝子を導入して作ることができ、臓器や神経などさまざまな細胞に変化させることができる。

 厚生労働省の審査委員会が認めた臨床研究は、目の難病、加齢黄斑変性が対象だ。理化学研究所が、患者の皮膚の組織からiPS細胞を作り、網膜にある細胞のシートに変えて、手術で患者に移植する。

 主な目的は、移植した細胞ががんになるといった安全上の問題がないか調べることだ。動物実験を重ねても、最後は人で試さないと危険も効果もわからない。その最初の試行である。

 患者にきちんと説明を尽くした上で進め、結果をできるだけ公開することが望まれる。

 一方、安倍政権は今月閣議決定したイノベーション戦略の中で、「身体・臓器機能の代替・補完」を柱の一つに掲げた。

 再生医療を使った薬などの承認を増やす▽臨床研究や治験に進める病気の対象を広げる▽再生医療用機器の実用化などを20年ごろまでに達成するという。

 確かに、先行する米国に続いて、日本が再生医療ビジネスをリードする好機ではある。だが成長戦略の柱とするには、今の到達点に比べて前のめりすぎる印象がぬぐえない。過剰な期待に研究者からは「反動が怖い」といった声も聞かれる。

 再生医療関連だからといって薬の承認が甘くなっては困る。iPS細胞を使った創薬が加速しても、貧弱な治験・審査体制では対応できない。研究が進めば、「iPS細胞から受精卵を作り、育ててもいいか」など、倫理上の問題の検討も必要となる。iPS研究周辺には放置されてきた課題が多いのだ。

 経済の思惑に引きずられず、安全性と効果を確かめながら、地道に環境を整えていくことが政府の役割である。

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国会の改革―選挙制度にとどめるな

 衆院議長のもとに有識者らによる諮問機関を設け、定数削減と選挙制度改革の検討を進める。安倍首相が、自民党の石破幹事長にこう指示した。

 昨年11月、自公民3党が選挙制度の抜本的な見直しで合意したのに、先の国会ではわずかに0増5減の新区割り法が成立しただけだ。

 首相が会期末に動いたのは、国会のふがいなさに批判が高まり、参院選にも影響しかねないと考えてのことだろう。

 もっとも、これだけで首相の姿勢を評価するわけにはいかない。何よりも自民党総裁として腰を上げるのが遅すぎたし、参院をどうするのかがはっきりしない。

 司法から抜本的な改革を求められているのは、参院も同じだ。また、衆院と同様、選挙区と比例区を組み合わせた選挙制度が参院の独自性を失わせ、一方で「衆参ねじれ」となれば政争の主戦場になることの弊害が指摘されてきた。

 衆院と参院の役割分担は何か、その特性を生かすためにそれぞれどういう選挙制度にしたらいいのか。制度改革にあたっては、こうした視点からの衆参一体の検討が不可欠だ。

 有識者の知恵を借りるなら、選挙に限らず国会のあり方全体の改革にも踏み込むべきだ。

 自公民3党は昨年、15年度まで赤字国債の自動発行を認めることで合意した。国債発行法案がねじれ国会での政争の具にされてきたことの弊害が、あまりに大きかったからだ。

 このような仕組みを予算関連法案や国会同意人事などにも応用できないかは検討に値する。議決が異なった際の両院協議会の運用の見直しも必要だ。

 先の国会では一度しか実施されなかった党首討論は定例化する。その代わり、予算委員会などの審議に首相らをいたずらに縛り付けるのをやめるのだ。

 首相の国会出席が与野党駆け引きの材料となるのを避け、政府との質疑から議員同士の討論中心の国会へと脱皮させることにもつながる。

 「政治とカネ」の問題も忘れてはならない。議員歳費や手当、年320億円の政党交付金は適正なのか再点検すべきだ。

 肝心なのは、諮問機関が出した結論には各党が従うという決まりを事前につくっておくことだ。案がまとまったものから、順次実行に移すスピード感も求められる。

 会期末の醜態で評判が地に落ちた国会である。せめてこのぐらいは有識者に委ねるのが、与野党の責任の取り方だろう。

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