>   >  中国系ファンドが日本株を叩き売り

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日中の緊張が高まるなか、株式市場へも揺さぶり

トヨタにドコモ、日立も 中国系ファンドに買われた日本企業238社の行方

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2012.10.05

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 中国政府系のファンドは何をしようとしているのか。運用方針は不明だ。「何をするかわからない」と不安を抱いている企業もかなりある。これまでは配当金を受け取るだけの“物言わぬ株主”だったが、これからは違う。中国は政治が主、経済が従のお国柄だ。これまでも投資を常に政治のカードとして使ってきた。

 そして、いまや米国債を一番多く保有しているが中国。欧州の通貨危機ではギリシャやスペインなどの国債を買い集めた。狙いは中国の存在感を高めて、国際的にイニシアチブを握ることだ。

「中国は、米国債の最大の保有者となったことを外交カードとしてフルに使った。中国が米国債を売れば米国債は大暴落し米国経済は崩壊する。だから、米国政府は中国に強くモノを言えなくなった。国債の大量保有は、米国の大統領の喉元にアイクチをつきつけたようなものだ」(在米の証券アナリスト)

 日本では国債の代わりに大企業の株式を大量に買った。日中の緊張が高まるなか、このカードを使って揺さぶりを仕掛けてくるのは必至だろう。

「オムニバスが保有している株式を一斉に売却すれば、東京市場の株価を暴落させることも可能でしょう。中国から撤退の意向を示す企業に対しては、『株を叩き売って企業価値を下げるぞ』と、恫喝することだってできる。産業人&経済人をパニック状態にするために有名企業の株式を買い増して経営権を握ることだってやりかねない。日本経済を根底から揺さぶるために、かなり荒っぽい手口を使ってくることが予想される」(同)

 尖閣諸島を国有化した日本政府に、政治や外交だけでなく経済・産業面でも圧力をかけてくる。その有力なカードが、オムニバスが保有している大量の日本企業の株式であることは間違いない。

 フリーキックのボールは中国側が握っている。日本側に尖閣暴落を防ぐ手立てはあるのか。中国政府系ファンドに翻弄されっぱなしになる懸念すらある。
(文=編集部)

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