調査捕鯨:南極海対象訴訟 豪「実態は商業捕鯨」 国際司法裁で口頭弁論
毎日新聞 2013年06月27日 東京朝刊
【ブリュッセル斎藤義彦】国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)は26日、日本の調査捕鯨が国際法に違反するとしてオーストラリアが日本を相手に起こした訴訟の口頭弁論を始めた。26日は豪州が、調査捕鯨は商業捕鯨にあたり国際捕鯨取締条約に違反すると主張、南極海での調査捕鯨禁止を求めた。日本は7月2日から反論。弁論は16日までで、判決は早ければ半年後。
日本が勝訴すれば調査捕鯨の正当性が認められ、反捕鯨勢力は批判の法的根拠を失う。敗訴すれば南極海での調査捕鯨を中止せざるをえず、北西太平洋での調査捕鯨にも深刻な影響が出そうだ。
口頭弁論で豪州は、日本の調査捕鯨が「継続し大規模」で実態は商業捕鯨だと指摘。商業捕鯨数を86年からゼロにすると定め、南極海での商業捕鯨を禁止した同条約違反だと主張した。
さらに、日本が条約を「曲解」し「毎年数百頭のクジラを殺すのは科学ではない」と断言。絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約にも違反すると指摘、南極海での調査捕鯨中止を求めた。
日本はこれまで、科学調査目的の捕鯨とその鯨肉の利用は国際捕鯨取締条約8条で認められ「商業捕鯨でなく条約に違反しない」と指摘。調査捕鯨の対象鯨種は日本に関してワシントン条約の適用外で、商業目的でもなく合法と主張してきた。
豪州は10年5月に提訴。国際司法裁判所は1審制で判決には従う義務がある。