7月には宇部三菱セメントも値上げ時期に入り、大手3社の足並みがそろう。住友大阪セメントの関根福一社長は「セメント需給は極めてタイトだ。時間が遅れても必ず、値上げは実現する」と語気を強める。「(震災復興需要など)急激に増えた需要に対応するため、古い設備を無理して稼働させている。設備も傷むので補修も必要になる。その分の利益も必要になる」と説明、値上げ実現に一歩も譲らない構えだ。
値上げ実現のカギを握るのが生コン価格の動向。生コン業者は最終需要家であるゼネコンに比べ規模が小さく、ゼネコンとの価格交渉で弱い立場にあった。だが、ここにきて需給逼迫を背景に要求が通り始めた。東京都の2つの生コン協同組合が4%の値上げを打ち出しているほか、札幌市の生コン協組も10月から14%の値上げを表明。東北地方の復興需要で砂や砂利といった生コン原料(骨材)の仕入れ価格が上がり、被災地以外でも出荷価格への転嫁が波及している。
好調な需要が追い風だ。全国生コンクリート工業組合連合会(東京・中央)によると、5月の全国の生コン出荷量は778万8千立方メートル。前年同月比8.9%増えた。前年同月を上回るのは5カ月連続。昨年、生コンの値上げを実施した神奈川県の生コン協組は「今年もさらに値上げする可能性もある」としている。
ただ、受注競争によってぎりぎりの採算で工事をこなしているゼネコンも値上げにすんなりと首を振る状況ではない。特に頭を痛めているのが人件費上昇。コンクリート型枠工や鉄筋工などの人手が一段と不足している。工事を進めるために人手確保が最優先。国土交通省も「建設労働者の適切な賃金水準を確保せよ」と度々の通達を出して、監視の目を強めている。ゼネコンもある程度の人件費上昇は受け入れざるを得ない。その分、「資材の調達費を抑えようとしている」(ゼネコンの資材調達担当者)。複数の建設会社に聞いたところ、工事受注額の約3割を人件費に充てることが多く、4割を人件費が占める工事も散見される。しわ寄せはセメントや生コンだけでなく鋼材など建設資材全般の価格に向かう。セメント会社や生コン会社の営業担当者にとって暑い夏になりそうだ。(林哲矢)
宇部三菱セメント、太平洋セメント、関根福一、住友大阪セメント、総合建設会社、脱デフレ
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