巨人が26日、広島相手に6投手のスクランブルリレーで5―0の零封勝ちを収めた。圧巻だったのは、原辰徳監督(54)が見せた“鬼継投”だ。無失点投球の先発・笠原将生(22)を3回途中で交代させると、球場は騒然となった。それでもナインは誰一人驚かない。阿部慎之助捕手(34)もずっこけなかった、その理由とは――。
王者らしい余裕の試合運びだった。先発予定だった内海が2日前に右足首を痛めて登板回避するアクシデントが発生したが、そんな非常事態にも動じず、自慢のブルペン陣をフル回転してあっさり勝利を手にした。
原監督の決断は素早かった。急きょ先発を任された笠原は、2回まで1安打無失点と上々の立ち上がり。3回も先頭の堂林に死球を与えたが、後続を打ち取って二死とした。ところが左打者のルイスを迎えたところで、指揮官自らマウンドへ。スタジアムがどよめくなか「よく投げた。交代だ」と声をかけ、左腕の青木にスイッチした。
これで思い返されるのは、昨年7月1日の中日戦(東京ドーム)での“非情継投”だろう。ルーキー田原が2回表まで無失点と好投していたが、その裏無死満塁の場面を迎えると、原監督は田原にあっさり代打を送ったのだ。
その瞬間、阿部がベンチでずっこける映像がテレビで流れ、話題となったのは記憶に新しい。女房役としてルーキーの心中を思いやっての行動だったが、それだけ指揮官の決断が、身内も驚かせたことを示していた。
だがこの日のナインの反応は違った。指揮官が笠原に交代を告げる横で、阿部も「当然」といった顔でうなずくだけで、ベンチにも動揺は見られない。6投手を送り込んだ高田ブルペンコーチも「具体的な指示こそなかったけど、監督の考えは予想できたこと。みんな理解して準備していた」とサラリだった。
なぜか。巨人は来週明けに2位阪神との直接対決を控えている。首脳陣の一人は「試合差を考えれば正直、敵は阪神だけ。7月は甲子園で6試合もある。そこで突き放せるかが勝負どころ。そこは選手もわかっている」と話す。
今の投手陣で笠原は大事なロングリリーフ要員だ。だがこの日引っ張っていれば、接戦が予想される阪神戦のブルペン陣容に影響した可能性もあった。計6投手を注ぎ込んでの零封勝ちに原監督は「思い描いた継投ができた」としてやったりだったが、そんな先をにらんでの指揮官の継投意図は、成熟したチームに自然と浸透している。
正直なところ、今の巨人にとって広島は眼中にない。ベンチもナインも、今は虎を蹴落とすことしか頭にないということか。
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