南京虫の別名を持ち、刺されると強いかゆみが出るトコジラミの被害が相次いでいる。国内では数十年前に姿を消したとされていたが、近年欧米などで大量発生したものが外国人観光客の荷物などに混じって上陸したとみられ、ホテルなどで利用者が刺される例が続出。夏場にかけて発生しやすくなることから関係者は「大流行する前に対策を打つ必要がある」と危機感を強めている。
「どんなに部屋をきれいにしても、お客さんに持ち込まれたらそれでおしまい」と頭を抱えるのは、東京都台東区で旅館を営む男性(75)。観光地へのアクセスが良く、欧米からの観光客が宿泊者の9割を占める同館では、昨年2度にわたり宿泊客が就寝中にトコジラミに刺される被害があった。
一度被害が出ると、業者による駆除や代わりの宿の手配などで約10万円の負担が発生する。現場の部屋も薬剤の臭いが消えるまで5日間は使用できなくなるといい、「経営への影響は深刻」とこぼす。
トコジラミは戦後に殺虫剤DDTによる駆除で激減し、1970年代には国内からほぼ姿を消したとされていたが、2010年度に都内の保健所や市町村の窓口に寄せられたトコジラミに関する相談は245件と、00年度(14件)から急増した。名古屋市で15件(00年度は2件)、大阪府でも82件(同34件)と相談件数は各都市で増えている。
日本ペストコントロール協会(東京・千代田)の平尾素一副会長は「米国など海外で急増したトコジラミが、外国人観光客や帰国する日本人の荷物に紛れて侵入したようだ」と指摘。宿泊施設やインターネットカフェにすみつき、利用者の衣服に付着するなどして一般住宅に広がることもあるという。
ホテル業界は対策に躍起だが、被害実態の把握すら難しい状態だ。都内で旅館を経営する男性は「被害に遭っても風評被害を恐れて内々に駆除してしまうホテルが多く、トコジラミ被害の認知が進まない」と話す。
このため、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は、6月に岡山県で開いた全国大会でトコジラミを紹介するブースを初めて設置、各地のホテル関係者に注意を呼び掛けた。担当者は「地方ではトコジラミの被害を知らない経営者も多い。被害の深刻さを訴え、危機意識を共有したい」と力を込める。
駆除費用を補助する制度も始まった。全旅連は昨年12月から、組合員向けの保険にトコジラミ被害に関する特約をつけた。1事例につき駆除費用や代替宿泊費用など最大300万円を支給。日本観光旅館連盟も同月から加盟旅館にほぼ同様の取り組みを行っている。
トコジラミ
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