EU首脳会議、独選挙控え銀行同盟で重要な決定ない見通し
[ブリュッセル 25日 ロイター] - 27─28日に開かれる欧州連合(EU)首脳会議では、ドイツの議会選挙を9月に控え、銀行同盟構想に関する重要な決定はない見通し。
ここ数カ月間、当局者らの間では今回のEU首脳会議が、本格的な銀行同盟に向けた重要な節目になるとみられてきたが、大きく前進するよりも失望を誘う可能性の方が高そうだ。
首脳会議の準備に携わる外交筋は「われわれは、9月のドイツ選挙後まで待機状態だ。それまでは、少なくとも経済政策に関しては議論を呼ぶようなことは何も起こらない」と語った。
2012年半ばに銀行同盟構想が具体化し始めて以来、ドイツはこの案に懸念を示してきた。経済大国ドイツは、単一の欧州銀行同盟が確立すれば、他国の債務の負担を余儀なくされると警戒している。
3期目続投を目指すメルケル独首相が9月22日の選挙を前に、銀行同盟に関する論争を避けたいと考えても驚きはない。
メルケル首相は、EU財務相がバッドバンクの処理方法について合意できないことに助けられてきた。21日のEU財務相理事会は20時間に及ぶ議論を行ったが、合意に至らなかった。
この結果、27─28日の首脳会議は、若年層の失業問題やEU経済再生の重要性が主な議題になる見通し。これらは重要な問題だが、一部の首脳は銀行同盟から議論が逸れることに懸念を示している。
イタリアのレッタ首相は先週、「危機に陥った銀行への共通の対策を次回の会合で協議しなければ、2013年12月の期限も達成できないのではないか」と述べた。
フィンランドやフランス、オランダなども、イタリアと同様にそうした遅れに関する懸念を抱いているが、金融市場はそれよりも、日米や欧州の中央銀行の金融政策に注目しており、銀行同盟構想の遅れによる市場への影響はほとんど見られていない。
ING銀行(ブリュッセル)のエコノミスト、カーステン・ブルゼスキ氏は「市場のセンチメントは、銀行同盟がやがてある時点で導入されるとの見方を映している。それは中期的なゴールだ」と指摘。「この点に関してはメルケル首相の勝利と言える。もたもたしながら何とか切り抜けていくことが受け入れられ、政策戦略として成功してきた。欧州は非常に小さいステップで何とか切り抜けていくだろう」との見方を示した。
© Thomson Reuters 2013 All rights reserved.