ブリッジレポート
(2415:JASDAQ) ヒューマンホールディングス 企業HP
佐藤 耕一 会長
佐藤 耕一 会長
佐藤 朋也 社長
佐藤 朋也 社長
【ブリッジレポート】ヒューマンホールディングス vol.1
(取材概要)2007年12月18日掲載
「主力の人材関連事業は注力している大手企業グループの開拓が進み好調が続いていますが、中間決算では教育事業と介護・その他事業の苦戦をカバーするに・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
ヒューマンホールディングス株式会社
社長
佐藤 朋也
所在地
東京都新宿区西新宿6−6−2
事業内容
1985年に予備校で出発、全日制や社会人教育・人材派遣・介護へ。2002年持株会社化
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年3月 66,415 2,026 2,115 1,044
2006年3月 60,312 2,662 2,655 1,070
2005年3月 54,870 2,705 2,683 1,469
2004年3月 50,787 2,333 2,274 1,013
2003年3月 46,563 1,688 1,514 616
株式情報(12/5現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
59,600円 109,313株 6,515百万円 16.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,500円 4.2% 9,880.77円 6.0倍 63,297.80円 0.9倍
※株価は12/5終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ヒューマンホールディングスの2008年3月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
「学ぶ」(教育)、「働く」(人材派遣等)、「支える」(介護等)の3分野を中心とした総合人材サービス会社。同社は純粋持ち株会社としてグループ全体を管理し、傘下の子会社が人材関連事業、教育事業、介護事業、その他の事業を展開している。
人材関連事業では、人材派遣や人材紹介、業務受託などを手掛けている。教育事業では、キャリアアップのための実務知識や各種資格の取得やスペシャリストを目指すヒューマンアカデミー、学位を取得する正規留学から専門学校留学まで、国際的に通用する人物の育成を目指す語学教育・海外留学支援のヒューマンインターナショナルを展開。介護事業においては、訪問介護・デイサービス併設の事業所や、グループホームなどを全国に展開している。また、その他事業では、事務管理受託、広告関連、不動産関連、旅行代理店業、損害保険代理店業、スポーツエンターテインメント事業、コスメティック関連事業、フランチャイズ事業、出版事業等を手掛けています。
 
<沿革>
1985年4月、教育事業を目的に株式会社教育未来社(現・ヒューマンアカデミー株式会社)を設立。88年2月にヒューマン・タッチ株式会社(現・ヒューマンリソシア株式会社)を設立し、人材派遣事業を開始しました。99年、介護事業に参入。2002年、子会社の経営指導等を目的に、ヒューマンホールディングスを設立し、持ち株会社制へ移行。04年10月、ジャスダック市場に株式を上場した。
 
<グループ・フォーメーション>
2008年3月期中間期の売上構成比は、人材関連事業が70.1%、教育事業が24.4%、介護事業が4.3%、その他事業が1.2%。グループ企業と、それぞれの事業領域は次の通りです。
 
 
2008年3月期中間決算
 
<連結>
 
 
人材関連事業をけん引役に前年同期比10%の増収となりましたが、教育事業の苦戦等が響き経常利益は同23.8%減少しました。また、教育事業にかかる固定資産の除却損や減損損失など特別損失111百万円を計上しました。
 
<セグメント別実績>
1.人材関連事業
 
 
売上高は前年同期比17.4%の増加。大手企業グループへの営業体制の強化を図ると共に、支社の拡大や新規開設を進めました。
 
 
この結果、一般派遣において開拓が進んだ大手企業グループへの売上が拡大、派遣者占有率が26.6%に上昇しました(+5.7ポイント)。また、特定派遣においても、技術者の採用・稼働が順調に推移しました。
 
 
 
 
スプレッドは前年同期の546円から535円に若干縮小したものの、粗利益率は前年同期並を維持。売上の伸長と、広告関連費の抑制により、営業利益は前年同期比35.4%増加しました。
 
 
2.教育事業
 
 
売上高は前年同期比7.8%減の8,717百万円、営業利益は売上の減少に加えて、学習塾の開校による初期費用が発生した事などにより、39百万円の営業損失(前年同期は440百万円の営業利益)となりました。
 
社会人教育事業においては、講座のリニューアルに継続して取り組み、「癒し」、「健康」、「きれい」をキーワードとする新規成長産業を念頭に「アロマセラピー講座」、「メイクアップアーティスト講座」などラインナップを充実。「食育スペシャリスト講座」、「ネイリストプロフェッショナル講座」等の売上が増加しました。
 
 
また、全日制教育事業においては、主な新規講座として、フットサルの選手やコーチ・トレーナー等のスタッフを養成するカレッジや、心と身体の両面から女性の美しさを引き出すトータルセラピストを養成するカレッジを開講。また、学習塾「進学塾ヒューマン」の展開を進め、北海道及び近畿地区において、新規に5校舎を開校しました。
 
 
ただ、社会人教育事業は、上記施策の成果もあり、新規契約がほぼ前年同期並で推移したものの、前期における契約の減少により、この中間期は受講生数が減少しました。また、全日制教育事業においては、主に総合学園ヒューマンアカデミーで、大学と競合するカレッジが想定以上に苦戦し、在校生数が減少しました。
 
 
一方、経営効率の向上を目指して、福山校(広島県)、大分校(大分県)、クッキングスクール八千代緑が丘教室(千葉県)を閉鎖し、また、広告宣伝費の効率的な使用など全般的な経費削減に努めました。この結果、営業費用は、講師関連費が前年同期比で若干増加したものの、広告関連費用や人件費の減少等で全般的に経費削減が進んだものの、減収による影響を吸収できず営業損失となりました。
 
3.介護・その他事業
 
 
(1)介護事業
前期に開設した事業所の利用者が増加した事により、売上高が前年同期比19.6%増加しました。事業所開設に伴い設備関連費が増加したものの増収効果で吸収、営業損益が黒字転換しました。(-5百万円→19百万円)。
 
(2)その他事業
コスメティック関連事業において、前期開設店舗の売上が順調に増加。英会話教室のフランチャイズ事業では、韓国でのフランチャイズ加盟店の獲得を進めた他、日本向け教材の制作を行う等、日本国内での事業展開の準備を進めました。事務管理受託業務のグループ向け売上が減少したものの、新規事業の売上拡大により前年同期比57.4%の増収、同24.6%の増益となりました。
 
 
2008年3月期通期業績予想
 
<連結>
 
 
教育事業で減収を見込むものの、人材関連事業が続伸、介護・その他の事業も新規事業の寄与により増収が見込まれ、連結売上高は前期比11.8%増加する見込みです。また、利益面では、教育事業及び先行投資負担が重い介護事業で営業損失が見込まれるものの、人材関連事業の増益でこれを吸収、同15.9%の営業増益が見込まれます。
 
<セグメント別見通し>
1.人材関連事業
一般派遣では、大手企業グループへの営業強化とキャリア手当制度拡充による専門職種の売上拡大が見込まれます。特定派遣事業は、技術者の採用・育成強化により受注・売上の増加を目指しています。また、未だ規模は小さいものの、引き続き事業強化に取り組む紹介事業も増収が見込まれる他、新規開設拠点も増収に寄与する見込みです。利益面では、スタッフ確保のための求人費や売上拡大のための組織体制の強化に伴う人件費の増加が見込まれるものの、増収効果に加え、特定派遣事業の黒字化により、前期比38.1%の営業増益が見込まれます。
 
 
具体的な対策は次の通りです。
 
(1)大手企業グループに対する売上の拡大
9月末時点で114名のマスターズマネージャーを150名体制に拡充して、大手企業への営業強化を図ります。
 
(2)専門職種(機械系CAD、Web、ヘルパー、医療事務等)の売上拡大
9月よりキャリア手当制度(講座修了生の支援制度)を3D機械系CAD、CATIA以外の職種に拡大しました。
 
(3)特定派遣分野での売上拡大
エンジニアキャリアセンターの新設(新卒&キャリアの採用)により、エンジニアを中心とした技術社員採用・研修体制を強化します。
 
(4)新規拠点展開の推進
教育拠点への併設を含めた支社を開設します(小牧・豊田4月開設済、長野・新潟・姫路10月開設済)。
 
(5)人材獲得の強化
セミナー、研修により来社促進を図ると共に、大都市圏を中心に登録センターを拡充(銀座・池袋・柏開設済)して、新規登録者10万人確保を目指します。
 
(6)短期、短時間ニーズへの取り組み強化
大型の季節需要案件に対応する営業体制を強化する事で、短期、短時間ニーズへの取り組みを強化します。
 
2.教育事業
 
 
社会人教育は前期に契約が減少したため、今期の受講生数が減少。当中間期の新規契約は計画を2.4億円上  回ったものの、マーケットの状況を考慮して減収を見込んでいます。全日制教育も主要カレッジの在籍者数減少により減収が見込まれます。短期商品が大きく増加するものの、全体では減収が避けられません。
利益面では、引き続き広告関連費の効率化を進めると共に、拠点の運営体制見直しと統廃合による合理化で経費全体の削減を図ります。ただ、新規事業にかかる先行費用もあり、営業損失が見込まれます。
 
具体的な対策は次の通りです。
 
(1)11月2日、新経営方針の策定
すべての事業をゼロベースで見直すと共に、長期的に投資回収の見込めないビジネスは遅滞なく収束します。また、マーケティングの強化及びマネジメントの強化にも取り組みます。
 
(2)経営効率の向上
社会人部門と全日制部門の運営協力体制の強化、不採算校舎の統廃合(福山・大分・姫路・クッキング八千代)、開講講座の整理、及び講師と社員の役割分担の整理等を進め、経営効率の向上を図ります。
 
(3)営業体制の強化
コンタクトセンターの充実による営業ボリュームの確保と研修強化、ヒューマンリソシアの営業を活用した法人営業の強化、及び専任担当者を配置し高校訪問を強化します。
 
(4)商品開発力の強化
新規成長産業に関わる新しい職種に対応する新規講座の開発強化、企業研修等の法人に対する商品の充実、通信講座のラインナップ充実と検定事業の定着等により商品開発力を強化します。
 
(5)料金体系の見直し
6月1日より教育商品の一部について料金体系の見直しを実施しました。
 
3.介護・その他事業
 
 
介護事業
既存事業の利用者増と介護付有料老人ホーム事業への新規参入により増収が見込まれますが、事業所の新設に伴う初期費用により介護付有料老人ホーム事業が157百万の営業損失となる事が響きます。
 
その他の事業
スポーツエンターテインメント事業でのチケット販売の増加や、認知度の向上によるコスメティック関連事業における来店者の増加を見込んでいます。ただ、教育事業の間接コストの削減により事務管理受託業務の売上、営業利益が減少する見込みであるため、全体としては増収・減益となる見込みです。
 
具体的な対策は次の通りです。
 
介護事業
(1)施設の新規開設
介護付有料老人ホーム(千葉開設済、鳩ヶ谷2月予定)及びデイサービス事業所(豊中他3ヶ所開設済)を開設しました。後者は、更に2008年2月にも、1施設(鳩ヶ谷)の開設を予定しています。
 
(2)開設拠点の早期黒字化
デイサービス事業所の黒字化までの期間短縮に努めます(単月黒字:8ヶ月→6ヶ月、累損解消:38ヶ月→24〜30ヶ月)
 
その他の事業
(1)スポーツエンターテインメント事業の黒字化
認知度の向上とスポンサー獲得に努めると共に、運営コストの見直しを行ないます。興行自体は既に黒字化しています。
 
(2)コスメティック関連事業の売上拡大
ダッシングディバブランドの育成(店舗展開、物販、人材養成)に取り組むと共に、直営店の出店を進めます(浦和・大宮10月出店済)
 
(3)新規事業の売上拡大
幼児英会話(FC事業)のFC展開を進めます。韓国:9月末389店→ 期末416店、日本:期末20店を予定
 
取材を終えて
主力の人材関連事業は注力している大手企業グループの開拓が進み好調が続いていますが、中間決算では教育事業と介護・その他事業の苦戦をカバーするに至りませんでした。ただ、主力の人材関連事業の業績は下期偏重型のため、下期はボリュームが増えて教育事業や介護・その他事業の苦戦をカバーできる見込みです。
もっとも、赤字や減益が見込まれる介護・その他事業も、その原因は先行投資負担です。売上が順調に拡大していますから、先行投資が成果を上げているものと思われます。また、教育訓練給付制度の変更やNOVAの破綻といった逆風を受けている教育事業については、抜本的な対策を講じて来期中には黒字化の目処をつける考えです。再来期の黒字化に期待したいと思います。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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