田中均氏:アジア調査会主催講演会での発言要旨

2013年06月24日

国際戦略研究所の田中均理事長=東京都港区赤坂で2013年6月6日、西本勝撮影
国際戦略研究所の田中均理事長=東京都港区赤坂で2013年6月6日、西本勝撮影

 田中均・元外務審議官が24日、東京都内であったアジア調査会主催の講演会で語った発言の要旨は次の通り。

 <講演>

 総理のフェイスブックに出てきたことについて、コメントするつもりはない。ただ一つだけの事実誤認というか、多分違うだろうな、ということが一つあって、これじゃ誤解があまり大きくなるとよくない、私自身というよりも日本国によくないと思うんで、一つだけお話し申し上げると、拉致の被害者の方々が2002年10月に帰ってきた。拉致の被害者の方々を一時帰国しかしょうがないだろう、と政府で決めて、日本に帰ってきてもらったが、その後、その方々を北朝鮮との話し合い通り北朝鮮に帰すか、否かについて、私が「帰すべきだ」という話をしたということがあるが、実はそれはそうではない。

 当時、一時帰国をせざるを得なかったのは、北朝鮮に残った子供たちのゆえだ。家族の方々が、自分の家族に対して、自分たちが拉致被害者と言っていないということもあり、きちんと説明して日本に帰ってもらうためにはそれなりの時間がいるだろうと、そういう中で、一時帰国となった。

 確かに北朝鮮にはいろいろ思惑はあっただろうと思う。ところが、日本に帰ってきて、非常に強い北朝鮮に対する反感が高まったわけで、とてもこのまま帰すわけにはいかないんじゃないか、という雰囲気が出てきた。その時に政府の中で一つだけものすごい心配があった。

 それは北朝鮮に残された子供たちの運命ということだ。もしもこれで帰らないと、子供たちに危害が及ぶのではないか。そうすると、危害を及ぼさないためにどうすればいいのか、というのと、親がどういう意識になるのかについて、やっぱり聞かなきゃいけない、ということになった。それで本人と意向確認をやった。

 そうすると、やっぱり自分たちはもう帰りたくないんだということだった。そうすると、政府として当然のことながら、日本にとどまってもらうということになった。

 ですからその時の議論は、拉致被害者自身が帰りたくない、というよりも、子供たちに危害が及ぶんじゃないか、従って政府が永住帰国することを決めた、ということで締めよう、ということになった。これが総意だ。私は、その判断は正しかったと思うし、もし子供たちのために拉致被害者が帰って、それでもし戻ってこなかったら、内閣が間違いなくつぶれていた、と私は思っている。

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