田中均氏:アジア調査会主催講演会での発言要旨

2013年06月24日

国際戦略研究所の田中均理事長=東京都港区赤坂で2013年6月6日、西本勝撮影
国際戦略研究所の田中均理事長=東京都港区赤坂で2013年6月6日、西本勝撮影

 質問 安倍さんの発言、帰した、帰さない、と。そのまま帰していれば平壌宣言に向けて進む可能性もゼロじゃなかった。でも安倍さんはそういうことはなかった、田中さんを外交官失格といった。もし帰さなかったら、どういう展開があったか。もう一つは、田中さんが記録を残さなかったと。本来外務官僚は記録をどう残すべきか、どうしたのか。尖閣、譲歩する余地はないということだが、何らかのコストを払わざるを得ない。譲歩せずにコスト払う非常に難しいが知恵は。

 田中氏 日本に帰ってきた5人を、あの段階で北朝鮮に帰すという選択肢はなかった、ということが一つ、と、仮に帰したとしても日朝関係が、平壌宣言通りに進展したとはまったく思っていない。なぜかというと、あのころ同時に、北朝鮮と世界との関係で険悪な雰囲気になり出したのは核兵器の問題だ。それが対決になっていくなかで、日朝正常化はあり得ない。進展していく余地はたぶんなかったんでしょう。

 私はあの時の政府の判断、5人の人たちを北朝鮮に帰さないという判断はまったく正しかったと思うし、私はそれに対して当時もそうなんだけど、今も異論はまったくない。正しい判断、立派な判断だったと思う。

 2番目の記録については、私一人で交渉するわけじゃない。守秘義務に外務省退職後も縛られているから詳細について申し上げることはできないが、私が交渉担当者だが、誰かがきちんと記録をとっている。誰かが通訳する、それはもうマストなんだ。一人で行って、記録を付けないで交渉するなんてことを北朝鮮とやるなんてあり得ない。怖いんですよ。

 私の言葉なんかたぶん全部テープにとられている。テープで取られている時に、記録残さないなんてないんですよ。客観的な立場の人が記録を残すということでやってるわけで、局長がその記録を書くわけではない。それを管理するわけでもない。

 私が今の質問に対して、記録が作られてない、ということは断じてない。それを私がこれあります、とお見せするわけにはいかないということも事実だ。水掛け論になるかもしれないが、何を言っておられたか、最初。記録なんて何もない、とおっしゃってたんですよ、最初は。今は記録が一部ない、と。そんなことを巡って、私は議論するつもりはまったくない。そういうことで、そこに焦点が当たって、本当に大事なことが議論されないということの方が私はよっぽど罪が重いと思う。

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