田中均氏:インタビュー記事への首相批判は「事実誤認だ」
毎日新聞 2013年06月24日 20時25分(最終更新 06月24日 21時56分)
田中均・元外務審議官は24日、東京都内であったアジア調査会(会長・栗山尚一元駐米大使)主催の講演会で、北朝鮮の拉致問題をめぐって安倍晋三首相から批判を受けたことについて「事実誤認だ」と主張した。そのうえで「首相も、私の言論の自由を奪うことはないと思っているし、引き続き外交について話をしていこうと思っている」と語った。
首相が問題視したのは12日付の毎日新聞朝刊掲載の田中氏のインタビュー記事。首相は、田中氏が2002年、帰国した拉致被害者5人を北朝鮮の要求通り、送り返すべきだと主張したとして、フェイスブック(FB)で「外交を語る資格はない」と批判した。
田中氏は講演で「私は(5人を日本にとどめれば、拉致被害者の)子どもたちを帰すのに時間がかかるかもしれないと申し上げた。それが(5人の)永住帰国についてネガティブに取られたとすれば、残念だ」と説明。5人を日本にとどめた政府の判断を「正しい、立派な判断だった」と評価した。
さらに拉致問題をめぐる北朝鮮との交渉記録を一部残していないと首相からFBで指摘されたことに、田中氏は「記録が作られていない、というのは断じてない」と否定した。
また、日本の最大の外交課題を「中国といかに建設的に向き合っていくかだ」と指摘。「将来的に、必ず日中の接点が出てくる。日本は尖閣で譲歩する余地はないが、工夫はあり得る」と語った。【吉永康朗】