「サザエさん一家」に課税 対応は6月25日 18時21分
東京・世田谷区の商店街が、地元にゆかりの人気漫画「サザエさん」の銅像を設置したところ固定資産税が課されることになり、商店街側が都に税の減免を求めていくことになりました。
銅像を設置したのは東京・世田谷区桜新町の「桜新町商店街振興組合」で、「サザエさん」の原作者の長谷川町子さんが地元に住んでいたことから、地域の活性化に役立てようと、去年、都や区の補助を得ておよそ4200万円をかけて商店街の歩道にサザエさん一家の銅像12体を設置しました。
ところが今月上旬、これらの銅像が「事業の宣伝目的」に当たり、店舗の看板などと同じだとして、1年分の固定資産税およそ59万円を求める納税通知書が都から届きました。
振興組合によりますと、銅像の耐用年数とされる45年間で、納付額は合わせて980万円に上るとみられ、振興組合は四半期分およそ15万円を納めたうえで、減免を求めていくことになりました。
こうした銅像は自治体が所有していると地方税法に基づき非課税となりますが、桜新町の場合は振興組合が所有しているため課税の対象になったとみられています。
桜新町商店街振興組合の坂口賢一理事長は、「全く想定していなかったので驚いています。収益のためではなく地域興しのために設置したという実情を分かってほしい」と話していました。
桜新町を管轄する都の世田谷都税事務所は「個別のケースは答えられないが、企業などが所有する銅像なども償却資産として課税している」と話しています。
銅像 自治体所有なら非課税
漫画やアニメのキャラクターの像は、地域興しの一環として全国の商店街などに設置されていますが、自治体が所有している場合は、地方税法に基づき税金はかかりません。
東京では、葛飾区に、亀有が舞台の人気マンガ、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公、「両さん」こと両津勘吉の像があります。
7年前、地元の商店街が区と協力して作りましたが、所有者は葛飾区です。
同じ葛飾区にはサッカーマンガ、「キャプテン翼」の主人公、大空翼の像もあり、こちらは、ことし区が設置しました。
いずれも区の所有で税金はかかっていません。
このほかにも上野公園の西郷隆盛像や、渋谷駅前のハチ公像、東京以外では鳥取県境港市のゲゲゲの鬼太郎などの像も自治体の所有で非課税です。
一方、自治体以外の所有でも、公共性が高い場合や、美術品と認められた場合などは課税の対象にならないということです。
「桜新町商店街振興組合」によりますと、サザエさんの銅像は、振興組合と世田谷区との協定で組合が所有し維持管理することにしたため店舗の看板などと同じ固定資産税の償却資産に当たるとみなされたということです。
都と交渉を行っている税理士の岡田俊明さんは「ほかの地域の像と同じ目的なのにサザエさん像だけ課税されるのは不公平だ。原画を基に作られているので美術品としても価値がある」と話しています。
地元「できれば非課税に」
桜新町商店街にある電気店の60歳の女性は「利益を上げるために設置したわけではないので、できれば非課税にしてほしい。銅像で地域が明るくなればいいと思っていたが、お金の話で問題になり残念です」と話していました。
銅像の写真を撮っていた20代の女性は「税金がかかるのは意外でした。こうした銅像があると通りを歩くだけでも楽しくなるので、税金をかけなくてもいいのではないかと思います」話していました。
初めて桜新町商店街を訪れたという36歳の男性は「銅像を見て『サザエさん』の街なんだと気付き、興味を持ちました。街のシンボルなので税金をかける必要はないと思います」と話していました。
[関連ニュース] 自動検索 |
[関連リンク] |
|