鹿肉:ソーセージ、開発 松川町の農家グループと茅野市のシェフ・藤木さん /長野
毎日新聞 2013年06月26日 地方版
松川町の農家でつくる「さんさんファーム」が、茅野市のフランス料理店「オーベルジュ・エスポワール」のオーナーシェフ、藤木徳彦さん(41)と協力して鹿肉のソーセージを開発した。東京都渋谷区の福祉作業所に出荷するほか、飯田市や松川町など近隣の道の駅、JA直売所で土産物として販売する。【横井信洋】
さんさんファームは1998年、黒豚を育ててソーセージを作り、堆肥(たいひ)を利用してリンゴや梨を栽培する複合農業を目指して町内4軒の農家が設立。食肉加工責任者の専務、原実さん(44)を中心に10年前から無添加の鹿肉ソーセージの商品化に向けて試行錯誤してきた。
鹿肉100%の粗びきは食感に問題があったが、藤木さんの助言でファームの黒豚肉をペースト状にして混ぜることで克服。鹿肉ハムも試作しており、販路に乗せたいという。
鹿肉ソーセージ作りのきっかけは、藤木さんが4月に旧知の原さんに声を掛けたこと。藤木さんは3年前から、県内の福祉作業所と協同で真空パックの鹿肉カレーを製造し、JR東京駅や同西船橋駅(千葉県船橋市)などのエキナカ店舗用に販売している。
その縁で、JR関係者が藤木さんに、キッチンカーでホットドッグを販売する渋谷区の福祉作業所向けのソーセージ作りを打診した。
藤木さんによると、鹿肉は、料理店で敬遠されがちな前脚などは産業廃棄物として処理され、費用はロース肉などの価格に上乗せされている。
このソーセージはこれまで捨てられていた部位を素材にしており、鹿肉全体の有効活用とコストダウンによって県産ジビエの普及につなげる狙いもあるという。
藤木さんは「ジビエの加工や流通など、出口の部分を改善するきっかけになってほしい」と期待している。
問い合わせはさんさんファーム(0265・36・6608)。