『TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』がアツい!
前回の日記でもちらっと話題に出した『TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』について。
まずこの本の簡単な説明をしておくと、WindowsとMacで使える英文フォントを500書体も収録したフォント集です。で、普通こういった「〜書体収録!」みたいなものって肝心のフォントの質はお世辞にもいいとは言えないものばかりだったりするのですが、その点この本はすごい。収録されているのはHelveticaやFutura、Frutiger、Bodoniなどプロのデザイナーが使用するようなフォントばかり。同じものを海外の大手フォントメーカーLinotypeで購入しようとすると、合計で150万円もかかってしまうほどの品揃えです。それがこの本を買えばたったの2980円で手に入る! これはすごい! 99.8パーセントOFF! 買うっきゃない! というわけで、98年の初版発行から順調に売れ、今ではプロ・アマ問わずかなり人気のある書籍となっているようです。
なぜこんなに安く売れるのか!?
とはいえ、普通の感覚であれば「150万円もするはずのものが3000円弱で手に入るなんておかしい!」と思うことでしょう。何か裏があるに違いない。しかし、商用利用も可能と明記されていますし、前書きには「米国ビットストリーム社よりライセンスを受けた500書体」とあるから、怪しげな海賊版というわけでもなさそう。そこでもうちょっと詳しく調べてみると、それっぽい説明をしてくれているブログが見当たりました。
どうしてこんなうまい話があるのか調べてみましたが、どうやら、これらのフォントを提供しているBitstream社が、本来の権利者であるLinotypeやMonotypeがデジタルフォントに参入する以前に、先にデジタル化を行ったらしいですが、当時タイプデザインに著作権というのがなかったためにこのような事態になったそうです。
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但し、商標権は保護されるために名前は変更されているらしいです。
なーるほど、つまり元々はLinotypeの開発したアナログ写植書体を、Bitstreamが勝手にデジタル化して売り始めちゃったと、そういうわけなんですね。確かに収録されている書体はHelveticaだとSwiss 721、FrutigerはHumanist 777というように、別の名前で登録されています。
ただ、ここまで読んで「あ、やっぱり法的にクロとは言えないってだけのバッタものなんだ」と判断するのは早とちり。2003年の7月にBitstreamとLinotypeは正式にライセンス契約を結んでいます。つまり現在はBitstream版のフォントはLinotype公認のライセンス商品。バッタものではないというわけです。
Bitstream Licenses Typeface Designs from Linotype; World-Renowned Foundry Approves Bitstream Versions of Linotype Designs.
Bitstream Licenses Typeface Designs from Linotype World-Renowned Foundry Approves Bitstream Versions of Linotype Designs. - Search results from HighBeam Research
BAD HOMBURG, Germany & CAMBRIDGE, Mass.--(BUSINESS WIRE)--July 18, 2003
Bitstream Inc. (Nasdaq:BITS) and Linotype Library GmbH today announced that Linotype has officially approved the Bitstream versions of many Linotype typefaces, including such well-known standards as Linotype's Frutiger(TM)(a), Helvetica(TM)(a), Times(TM)(a), and Univers(TM)(a), among others.
Helveticaの丸パクリとして非難されることの多いArialになぞらえて、このBitstreamのフォントを非難する人も見受けられますが、少なくとも現在はその批判はやや的外れであるように見受けられますね。
著者本人に聞いてすっきり解決!
さて、だんだんと『TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』の安さの秘密が分かってきましたが、それでもやはり疑問は残ります。というのも、冒頭で「Linotypeで買うと150万もする」と書きましたが、別にBitstreamのオンラインショップで買ったからって値段はまったく変わらないのです。結局150万円相当のものがなぜ3000円で買えるのかという疑問自体は解決しないまま。これについてはどう検索をかけても答えが見つかりません。インターネットにも分からないことはあるのか……。
そこで最後の手段。この本の著者、深沢英次さん本人にわけを聞いてみることにしました。さっそく深沢さんのTwitterアカウントに質問を投げかけます。すると数分でご本人から回答が! いやあ、Twitterって便利ですね……!
@n_soba: @pictex 突然失礼します。『TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』愛読(愛用?)させていただいてます。そこで質問なんですが、収録のフォントって普通にBitStreamで買うと1書体40ドル程度しますよね……。なぜ500書体も入って3000円で買えるのか疑問で。
https://twitter.com/n_soba/status/64363693370126336
@pictex: @n_soba ありがとうございます。ライセンスの交渉はインプレスさんがやったのですが、当時は今ほど一般の人にフォントが売れる時代ではなく、サポートしない代わりにまとめて格安でという話になったようです。 http://t.co/RcZBGbq
https://twitter.com/pictex/status/64370576009068544
@pictex: @n_soba 最初の契約から、Bitstream社ももう何代も経営陣が代わっているのですが、本書の評判は向こうでも評価していただいてるようで、当時の契約が続いていると聞いています。
https://twitter.com/pictex/status/64371267096158208
というわけで、ようやく疑問が解決しました。やはり何でも聞いてみるものですね! と言うわけで今回の教訓は、調べても調べても分からないことはあるので、最後の最後は人に聞こう! でも聞く前にちゃんとググろうね! あと『TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』マジオススメ!
改訂5版 TrueTypeフォントパーフェクトコレクション (IJデジタルBOOK)
- 作者: Fonts by Bitstream Inc.,深沢英次,インプレス編集部
- 出版社/メーカー: インプレスジャパン
- 発売日: 2010/03/23
- メディア: 大型本
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