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　これだけではない。昨年１０月には工場夜景をからめた「街コン」（街の複数の飲食店を使って行われる合コン）が行われ、男女９２人の枠に１００人を超える応募があった。さらに「昨年は修学旅行のコースになり、バス５台で２回出ています」となんと工場夜景が修学旅行のコースに組み込まれた。

　有名観光地と比べると１万人は少ないが、川崎市は目ぼしい観光施設は少なく、ほんの数年前まで「観光で誘客」という考えがなかった市だ。大きな投資をして新たに施設を造ったわけではなく、既存の工場に新しい価値観を付けただけで観光客が来るようになったのだから、実に効率的だ。
 
　一方、今年１１月に「第四回全国工場夜景サミット」を開催する北九州市は、工場夜景で宿泊客を増やそうと大きな期待を寄せている。同市観光部の上田ゆかり担当課長によれば「北九州市はアクセスが良いため、観光客はたくさん来られても、日帰りの方が多い。宿泊してもらい、夜の街に出てもらえるための起爆剤にしたい」。
 
　日帰り客よりも宿泊客の方が地元に落とす金額は大きい。夜景を見るためには必然的に夜までいることになり、夜景観光が根付けば、地元への経済効果が期待できる。サミットへ向け力が入る北九州市では、市内の工場にライトアップの協力を要請している。
 
　工場夜景サミットには昨年、山口・周南市が加わり「日本五大工場夜景」を宣言。亀山氏によれば「次は七大、そして十大と参加する自治体は増やしていきます」という。
 
　工場は間違いなく観光素材として存在感を増している。

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