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【社説】

フクイチで考える(2) メルトスルーの深い穴

 メルトダウンに陥った1〜3号機では、燃料デブリの存在が、放射能汚染水と並んで廃炉の進展を妨げる。デブリとは、溶け落ちた核燃料の固まりだ(図は1号機、東電資料より)。

 一九七九年にメルトダウン事故を起こした米国のスリーマイル島原発(TMI)では、燃料デブリは格納容器の内側の圧力容器の中にとどまった。

 それでも、作業は困難だった。

 メルトダウンが具体的に判明したのは事故発生から三年後。溶融分は当初、燃料の20%と見られていたが、結局は52%もあった。取り出しには十一年の歳月と十億ドルの費用をかけた。

 フクイチは、それよりはるかに難しい状態だ。高温の核燃料が圧力容器を貫通するメルトスルーで、格納容器の底に落ちた上、底部を侵食している恐れがある。

 「中に入ってサンプルが採れないと、次のステップには行きにくい」。東京電力前常務執行役の小森明生さんは言う。三代前の福島第一原発所長である。

 さまざまなものの混じった海水を注入したために、さまざまな異物が放射化した恐れもある。

 3・11から、やがて二年四カ月。ファイバースコープやロボットを使ってさまざまに探査を試みているものの、フクイチの炉内の様子はまだ詳しくわからない。

 何が溶け込んでいるか。容器の底に林立する制御棒にこびり付いてはいないのか。燃料デブリの性状も散らばり具合も、明らかにはなっていない。

 昨年三月、2号機の格納容器内部で毎時七三シーベルトの放射線が計測された。数分浴びただけで命を落とす線量だ。この危険が調査の大きな壁になる。フクイチには、まだ分からないことが多すぎる。メルトスルーの穴はどこまで深いのか。優秀なロボットたちはどうしたか。

 廃炉への前提になる新たな探査技術の開発に、世界の英知を集めるべきだ。 (飯尾歩)

 

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