欧州危機の煽りを受け、世界的な金融関連銘柄の株価低迷が続いているが、その影響はわが国の「銀行の銀行」にも及んでいる。今年1月に5万4000円だった日本銀行の株価が、11月16日、年初来安値となる3万9700円にまで下落したのだ。4万円台を割り込むのは25年ぶりのこと。そこで、大損したと見られているのが、実は天皇家なのである。
もともと皇室と日銀株のつながりは深いものがある。第二次大戦直後の段階で、皇室は29社の株式を所有していたが、とりわけ目を引くのが、20万8000株(額面で2080万円分)を保有する日銀の株だった。
現在、天皇家の私財の大半は、預貯金のほか、株式や債券といった有価証券が占めている。資産運用に際しては、「金融機関の幹部などがその指南役を務めていた」(今上天皇のご学友で共同通信元記者の橋本明氏)が、順調に増え続けているとは言えそうもない。
たとえば1989年1月に崩御した昭和天皇の遺産は約18億円にものぼっていたが、'00年6月に亡くなった香淳皇后の遺産は、2億円以下にまで減っていたのだ。その間、日銀株は70万円から8万円前後にまで下落しており、宮内庁は遺産減少の理由のひとつとして、株価の下落によって資産が大きく目減りした点をあげている。
天皇家は日銀株のほか、横浜正金銀行(現・三菱東京UFJ銀行)や日本興業銀行(現・みずほコーポレート銀行)などの株式も保有していたが、現在はどのような運用をしているのか。宮内庁総務課報道室は「私経済に属することなので回答は差し控えさせていただきます」として、具体的な内容は明かさない。
いずれにせよ、日銀株の動きは、「他の銀行株や市場全体の動きに連動」(投資評論家の山本伸氏)しており、確かに現在の日銀株と日経平均株価は、'00年6月からともに5割も減らしている。つまり、株の下落とともに、天皇家の資産が目減りする「悲劇」が起きている、ともいえるのだ。
『週刊現代』2011年12月3日号より
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