2013-06-03 12:01:38

第6261回「探偵ガリレオ、第三長編 真夏の方程式、その2、ストーリー、ネタバレ 東野圭吾」

テーマ:ねたばれミステリー

新稀少堂日記


 第6261回は、「探偵ガリレオ、第三長編 真夏の方程式、その2、ストーリー、ネタバレ 東野圭吾」です。小説とは関係なく、章とサブタイトルを付けさせていただきます。なお、劇場版の公開が間近ですので、( )内に俳優名を記すことにします。


「第1章 少年、変人学者に逢う」(1日目)

 小学5年生の柄崎恭平(山﨑光さん)は、ひとりで東京から新幹線を乗り継ぎ、伯母夫婦が経営する「緑岩荘(ろくがんそう)」に行く予定だったのですが・・・・。車内で老人に携帯の使用をとがめられたのです。そんな彼を救ったのが変なおじさんでした。


 少年が食べたおにぎりを包んでいたアルミホイルで携帯を包めば電波を遮断できると教えてくれたのです。その変なおじさんは、下車した際、少年のメモを見ます。おじさんも、同じ旅館に泊まることにしたようです・・・・。


 その変なおじさんこそ、変人学者ガリレオこと湯川学(福山雅治さん)でした。海底鉱物資源の開発を進める政府関係のデスメックからの依頼を受けての出張でした。期間は不定です・・・・。すでに盆を過ぎており、新学期までにはまだ間があります。


 デスメック主催の地元説明会は2日にわたって開催されます。反対派の急先鋒が、フリージャーナリストの沢村でした。緑岩荘のひとり娘である川畑成実(杏さん)も、活動家のひとりとして参加しています。テーマが開発と環境保護の論点に移った時に口を出したのが、湯川でした。


 「開発課長の発言はよろしくない。レアメタルを採掘するために、環境を破壊することは地上と何ら変わらない。要は選択の問題だ」、成実は主催者側に座る湯川の発言に違和感を感じます。会議が終わった後、湯川は緑岩荘に行きます。


 老朽化した旅館の宿泊者は、塚原(塩見三省さん)と言う男だけでした。彼が説明会場にいたと、成実の記憶にも残っています。恭平少年は、足の不自由な義理の伯父さんである川畑重治(前田吟さん)と一緒に打ち上げ花火をします。その際、重治は恭平に開口部を塞がせています。「窓だけでなく、花火がどこに飛んでいくか分からないから、すべて塞ぐんだ」


 一方、湯川は旅館の女将である川畑節子(風吹ジュンさん)に案内され、地元の居酒屋で飲むことにしました。しばらくすると、成実が合流します。そして、沢村も・・・・。沢村は親切心で飲む前に、節子を旅館まで送り届けると言います。しかし、緑岩荘では問題が起きていました。宿泊客の塚原が消え失せていたのです・・・・。


「第2章 宿泊客の転落事故」(2日目)

 前夜、ひとり旅の疲れのためでしょうか、伯父さんの部屋で恭平はそのまま寝てしまいました。しかし、その朝は大騒動になりました。宿泊客の塚原が堤防から転落し、亡くなったというのです。ただ、所轄は事故死の方向で捜査を進めていました・・・・。


 朝食時、恭平は湯川と一緒に食事をします。そして、何かと湯川に質問をぶつけます。子ども嫌いの湯川としては、めずらしく真剣に答えを返していました。いつしか、恭平は湯川を"博士"と呼ぶようになっていました。


 一方、デスメックの説明会は、2日目(最終日)を迎えています・・・・。午後に入って、所轄がざわめきます。遺族を伴って本庁捜査1課の多々良管理官が来たからです。亡くなった塚原は、元捜査1課の刑事だったのです。管理官は、本庁で解剖すると言い出します・・・・。


 ところで、湯川は昨日から酒席を含めて何度か成実と会っています。旅館の料理も、成実が分担していました。「開発と環境は矛盾するものだ。ただ、一方が他方を批判しても意味はない、開発と環境の両方を知らなければ、判断する資格はない」と言い切っただけでなく、「きみは東京にいたと聞いている。ここで環境保護の活動するよりも、東京での暮らしの方が向いていると思えるのだが」


 そんな変人学者に、恭平は傾注していきます。湯川は、地名"玻璃ヶ浦"の由来となった"玻璃"を見せてやると恭平に約束します。しかし、恭平は極端に船酔いしやすい体質だったのです。湯川は、部屋で何かを作り始めます。


「第3章 一酸化炭素中毒が死因」(3日目)

 司法解剖の結果、塚原の血中からCOが発見されました。死後、堤防から突き落とされたのです。では、どこで殺されたのでしょうか。所轄が調べたのは、もちろん緑岩荘でした。ボイラー、煙突などを重点的に調べます。


 一方、多々良管理官は、草薙刑事(北村一輝さん)に県警との連絡役を命じます。なぜ、塚原は玻璃ヶ浦に行き、デスメックの説明会に出席したのか・・・・。草薙は相棒として、内海刑事(岸谷美砂、吉高由里子さん)を指名します。


 ところで、デスメックでの仕事は開店休業状態でした。湯川は恭平を連れて、ポイントに面したビーチに行きます。湯川が持ってきたのは、大きなペットボトル・ロケットでした。湯川は何度か試行錯誤を繰り返し、落下ポイントを予測します。恭平は、湯川の作業を見つめます・・・・。


 そして、携帯電話を取りつけ飛ばします。200m以上飛び出しました。恭平の携帯が鳴ります。「携帯を見るんだ!」、携帯には玻璃が映されていました・・・・。ところで、草薙が連絡をしますと、湯川が緑岩荘にいることが判明します。意外だったのは、いつもは捜査協力を嫌がる湯川が積極的だったのです。草薙は違和感を感じます・・・・。


「第4章 16年前の元ホステス殺し」(4日目、5日目)

 所轄に、県警主導の下、捜査本部が立ちあげられます。一方、連絡役の草薙は独自調査を進めます。塚原は、ある意味、名刑事でした。多々良管理官にも大きな影響を与えています。退職にあたり印象に残った事件はと聞かれ、塚原が答えたのが16年前の元ホステス殺しでした。


 しかし、その事件は塚原自身が解決していたのです。何故、そんなにこだわったのでしょうか。仙波英俊(白竜さん)自身、すべてを自白し法廷でも争っていません。服役も終えて出所しています。草薙と内海は、出所後の仙波を追うことにします。


 湯川はデスメックの仕事を開始します。技術的な支援が業務内容なのですが、湯川は旅館に帰ると、恭平の宿題を教えます。「きみは、ペットボトル・ロケットのデータを既に持っている。それをまとめれば、自由研究は終わるはずだ」


 捜査本部が悩んでいたのが、塚原が中毒死した現場の特定でした。しかし、草薙には、湯川が知っているように思えます。それを薄々感じていたのが、川畑夫婦でした・・・・。湯川が気になっていたのは、ロビーに掛けられた一枚の絵でした。玻璃ヶ浦が描かれています。


 出所後の仙波は困窮していたようです。草薙は、ホームレスのボランティア組織を洗えと内海に指示します。ビンゴでした。一方、川畑家の東京時代もトレースしていました。社宅でなく、母娘は荻窪に住んでおり、父親は名古屋に単身赴任していました。そして、元ホステス殺しのあった公園も、母娘が住んでいたアパートの近くにあったのです。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


――――――――――――――――――――――――――――――――













 湯川も時間を見つけて、事件を追っていました。緑岩荘に掛けられた絵はどこで描かれたのか・・・・。別荘エリアに行きます。地元では、殺人犯が住んでいた別荘として有名な物件がありました。その別荘地から眺めた景色は、まさしくあの絵そのものでした・・・・。


「第5章 事件解決:川畑夫婦の自首」

 湯川も草薙もひとつの結論に達していました。仙波は、川畑家の誰かをかばって服役したと・・・・。一方、塚原刑事は、自分が解決した事件に納得できなかったのではないか、では、何故、玻璃ヶ浦に来たのか、・・・・。地道な聞き込み作業の結果、草薙と内海は、仙波の入院先を突き止めます。ホスピスでした。


 ホームレス状態の仙波を見つけ出し、自費で入院させたのは塚原でした。事件以降、塚原は贖罪の日々を送っていたのです。仙波の妻は、玻璃ヶ浦のあの別荘で亡くなりました。死ぬ前に妻が描いたのが、緑岩荘に掛けられた絵でした・・・・・。


 元ホステスは、仙波と川畑節子を脅していました。成実は仙波の子であると・・・・。夫の川畑重治も薄々そのことを知っていました。仙波に金がないことを知った元ホステスは、川畑母娘の住むアパートに行きます。偶然母親はいませんでした。元ホステスは、娘に捨てセリフを投げかけます・・・・。


 成実は思わず、包丁を握りしめて女の後を追います。追いついた先が、あの公園でした。あとは、凶器の包丁を確保した仙波が、警察を誘導し自らの犯行だと思わせたのです・・・・。そんな仙波も、今では脳腫瘍のため、まともに口も利けません。意識がはっきりしているときは、事件については話そうとはしません。


 塚原は、仙波夫妻が愛した瑠璃ヶ原を代わりに守るために説明会に出席したのです。そして、死に行く仙波のために、一目わが子である成実を会わしてほしいと・・・・。それは、田畑家の触れてはならないタブーでした。


 その頃、川畑夫婦はすべてを観念していました。警察に自首します。「あの夜、花火をしていました。そのため、塚原さんはよく見える場所に来ていたんです。その部屋には排煙用の煙突が壁側に埋め込まれていました。老朽化しているのを知りつつも、改修工事はできませんでした。


 まさか、客を一酸化炭素中毒で死なすとは思いもしませんでした。魔が差したのでしょうか、妻に協力を頼み、遺体を堤防から突き落としました」、捜査本部は一挙に事件解決に向けて動きます。環境保護派の沢村も、遺体の遺棄に協力したことを認め、自首します・・・・。


 田畑夫妻は、自首する以前に、湯川に旅館からの退去を求めていました。湯川と恭平はリゾートホテルに移ります。恭平の父親も駆け付けていたのです。


「エピローグ あの花火の夜に何があったのか」

 湯川は、あの状況では一酸化炭素中毒はあり得なかったと推論しています。では、どうすれば濃度が致死量にまで達したのか、解決の糸口は少年が重治から聞かされた言葉にありました。「窓だけでなく、花火がどこに飛んでいくかもしれないから、すべて塞ぐんだ」、恭平は指示されたとおり、煙突の出口も塞いだのです。


 足の不自由な義理の伯父は、甥に殺人の実行行為をさせていました・・・・。しかし、わずかな間でも湯川と接するうちに、恭平はすべてを知ったはずです。父親と共に立ち去る恭平に言います。「おまえはひとりじゃない。ぼくもいれば、成実もいる。分かったな!」 


(蛇足) 事件は、川畑夫婦の自白した方向で終結します。16年前の事件も、明らかにされることはありませんでした・・・・。


(補足) 感想につきましては、"その1"に書きました。

 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11543766226.html

PR

コメント

[コメントをする]

コメント投稿

一緒にプレゼントも贈ろう!

気になるキーワード

    アメーバID登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト