今度はＮＰＢを舞台に“乱”が繰り返されるのか。統一球隠ぺい問題で混迷中の球界に、衝撃的な情報が舞い込んだ。日本野球機構（ＮＰＢ）は25日、第三者委員会のメンバーを発表した。そんななか球界の一部では、今回の問題に関わる“重要証人”の名が浮上している。委員会が事情聴取に乗り出せば、大混乱は避けられないが果たして――。

　今回の統一球隠ぺい問題で、ＮＰＢ・加藤良三コミッショナー（７１）は「知らなかった」と釈明。部下に責任をなすりつけることで、事態の収拾を図ろうとしている。

　ただし本当のヤマ場はこれからだろう。今後、第三者委員会は、問題の責任の所在を含めた内部調査にあたることになる。

　調査報告は７月１０日に開かれるオーナー会議で行われるが、その結果は加藤コミッショナーにとって厳しいものになると見られている。巨人や阪神を中心としたセ・リーグ寄りの姿勢を鮮明にしてきたコミッショナーを、オリックスや楽天など一部パ球団は“敵視”している。宮内オーナーの息がかかった委員会の報告が「甘いはずがない」というわけだ。

　第三者委員会はまず、問題の経緯の把握に努めるだろう。調査過程では「外部の人間に意見を求めることもあり得る」（前出の関係者）という。そこで“重要証人”として、あの前巨人球団代表兼ＧＭ・清武英利氏（６２）の名前が浮上。球界全体に動揺が広がっている。

　なぜ今、清武氏なのか。実は同氏こそ統一球導入の推進役で、当時は１２球団の選手関係委員長として選手会側と事務折衝を行う立場にあった。あるパ球団関係者は「自分が携わっただけに、問題への関心は高いはず。ミズノ社との契約などの重要事項まで把握していたかはわからないが、声がかかれば喜んで口を開くだろう。巨人寄りの加藤さんには厳しい意見を述べるはず」と見る。

　しかし一方で、清武氏に対する球界のアレルギー反応は依然強い。なかでも巨人からは「あの人なら『飛ばないボールをやめろとコミッショナーに圧力をかけたのは巨人』とか『巨人は仕様変更を知っていたはず』とか、何の根拠もない、いい加減なことまで言い出しかねない」と危惧する声が上がった。

　統一球に関しては、昨年１２球団の取り決めで各球団が「意見書」をＮＰＢに提出した。巨人や阪神などが「飛ばなさすぎる」として仕様変更を求めていたのは確かだが、問題はＮＰＢがそれに対して明確に回答しないまま、こっそり変更を行っていた点にある。

　冒頭の球界関係者は「清武さんが出てくるとＮＰＢの問題に巨人が絡んで話が余計にややこしくなるし、球界全体のイメージも悪くなる。いかにパの一部球団が“巨人憎し”でも、彼を担ぎ出すことは考えられない」と第三者委員会を“けん制”しているが…。第三者委員会の動向に注目したい。