株価の暴落、輸出の低減、国内の経済成長の減速などを見て、西側のメディアは、すぐ反応した。
しかし、中国メディアはそれほどあわただしくなったわけではない。国営の新華社は人心を安定させるための論説を出した。新華社よりもリベラルな主張の市販メディアは、ほぼそろって李克強首相の経済政策を支持している。中国はこれ以上のバブルを拡大してはいけないと思っているからである。
中国の銀行業界が資金不足に陥ったにもかかわらず、政府は金融構造の調整、金融政策や手法の調整をストップしなかった。まだ傷が浅いうち、バブルが小さいうちに潰したほうがいいと思われている。
国際的に見て、中国独自で新しい政策を出したわけではない。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)による量的金融緩和政策も今は見直されており、これから国際金融は大きな変化に直面している。ドルは強くなり、資金がアメリカに流れていくと思われる。
そうした中で中国は金融緩和を継続していて、市場のリスクに対応できるのかという問題を残している。またリノミクスのなかでは、経済成長の力は潤沢な資金供給から来るのではなく、むしろ構造的な改革によるものとされている。
6月20日に李首相は、国務院の常務委員会議では、余剰生産能力、構造改革、農民農村農業、零細企業、消費のアップグレード、利息の市場化、資本市場の改革、保険の役割、民間資本の金融業への進出、リスクの回避など主に8つの面での改革について詳細に語り、銀行や証券の当面の危機については一言も語らず、改革の決心をもう一度表明した。
リノミクスは改革を推し進め、資産バブルや余剰生産能力の維持にお金を貸している銀行に助け舟を出す気配は、ほとんどない。