「大湾岸、大鉄鋼、大化学工業、大電力」の四大戦略のうち、一つとして収益をあげそうなものはない。中でも最大のプロジェクトである曹妃甸湾岸、首都製鉄の1000万トン製鉄所はきわめて厳しい赤字経営となっている。発電能力6600兆ワットの華潤電力も建設は中断。中石化(中国石油化工集団公司、シノペック)傘下の燕山石油化学の1200万トンの石油精製工場も、いつ完成するか明確な答えは出ていない。
さらに大変なのは、債務があまりに巨額であるため、実際どれほどの規模なのか、すでに知る術がないということである。唐山の経済界では600億元ほどであろうと推測しているが、政府側の見積りではそれよりずっと大きい模様である。『21世紀経済報道』の記事によると、毎日支払っている利息だけでも数千万元にのぼるという。
巨額の債務を背負っているため、こんな「事件」も起こってしまった。
2012年1月30日、河北省共産党委員会、省政府の人々がそろって唐山を訪れ、現地で会議を開いた。政府は会議に参加した各企業、機構にプロジェクトへの支持を呼びかけ、特に資金的なサポートを求めた。
中国工商銀行唐山支店は、すでに巨額の資金を曹妃甸に投資しており、回収の見込みもなかったため、会議の席でそれ以上の投融資を拒んだ。そのことに腹を立てた唐山市側は「それなら今後唐山における工商銀行のすべての業務を止めてもらう」と迫ったが、中国工商銀行側は「唐山だけでなく、河北省でのすべての融資業務を取りやめる」と応戦し、その後ようやく省政府の取り成しでなんとかこの喧嘩を止めるに至ったという。
今のところ、中央から曹妃甸を救うための資金を新たに投入するという話は聞かない。曹妃甸と同じくらいの規模で、建設中の工業区は他にも各地に点在している。曹妃甸工業区はけっして小さくはないが、今ストップすればまだ傷は浅い。さらに追加投資をして、傷口をさらに大きく深く拡大していくとは考えにくい。
アメリカも超金融緩和停止へ
中国は引き締めを継続
「金融恐慌の匂いがする」。中国のインテリ層に影響力を持っているフィナンシャル・タイムス中国語サイトは、6月24日、こう記事を書き起こしている。