その中で出てきた中国金融界の資金不足である。2013年1月から5月まで、銀行から新たな融資は9.1兆元に上り、昨年の同時期より3.1兆元多く、このため金融界には資金が不足している状況なのである。
ペンペン草の曹妃甸
追加の投融資は期待薄
大都市近辺の住宅建設はどのぐらいの規模になっているかについて、具体的な数字はないが、“未来の星”と言われる曹妃甸から、現在の中国経済の矛盾を垣間見ることができる。
渤海湾の西側に位置し、河北省でもっとも力のある唐山市に属し、計画上の面積380km2に及ぶ曹妃甸工業区は、2003年に建設が始まった。以来、海を埋めたてた面積は230km2に達し、他も含めればすでに3000億元を超える資金が投じられていた。投資が集中した時期には、一日に4億元もの資金が流入。「中国で最も大きな工事地域」ともいわれ、国レベルのリサイクル経済模範区域ともいわれた。
ここには、唐山市の産業の構造転換という夢が託されている。このプロジェクトの成否に、河北省における沿海経済の方向性、また沿海における広東省、江蘇省、山東省のような、経済実力を有する省になれるかどうかもかかっている。さらに、北京天津河北地域における成長戦略の成否にも、重大な関係がある。
中国の主流経済紙である『21世紀経済報道』の記事によると、曹妃甸で計画された4つの重要産業である大湾岸、大鉄鋼、大化学工業、大電力のいずれも見果てぬ夢となり、そのために投資したインフラ建設も債務返還のピークを迎え、キャッシュフローが途絶えるリスクに直面しているという。
工業区内では、多くの建設中のプロジェクトは止まったままであり、いつか再開されるという希望はほとんどない。その中には、「中日生態地域」も含まれているが、ここに投資した日本企業は多くはなく、いたるところにペンペン草が生えているような状態である。