虚構の環:第3部・安全保障の陰で/1(その2止) 再処理、砂上の楼閣

毎日新聞 2013年06月25日 東京朝刊

プルサーマル発電をしていた東京電力福島第1原発3号機の原子炉建屋。水素爆発によって破壊された=2012年10月、山本晋撮影
プルサーマル発電をしていた東京電力福島第1原発3号機の原子炉建屋。水素爆発によって破壊された=2012年10月、山本晋撮影

 プルサーマル受け入れを求められた自治体は、この点に不安を抱き続けてきた。2009年1月、松江市で開かれた中国電力島根原発2号機を巡る住民説明会。経済産業省資源エネルギー庁職員は「45年ごろに第2再処理工場の操業を開始し、回収されるプルトニウムは高速増殖炉で再利用する」と説明した。松江市は同3月、使用済みMOX燃料の市外への搬出を国に強く要請したうえで受け入れを決めた。

 しかし、国が第2工場について具体的な計画を示したことはない。直近の原子力政策大綱(05年策定)にも「(第2工場は)10年ごろから検討を開始する」と記載されているだけだ。

 取材班は04年に経産省職員が作成した非公開の内部文書を入手した。そこにはこう記載されている。「原子力委と経産省資源エネルギー庁は『第2工場は宙ぶらりん』で合意(密約)している」。文書作成に関与した関係者が解説した。「2兆円以上投じた六ケ所がトラブル続きで動かないのに、第2工場なんて建設できるはずがない。ただプルサーマルが止まると核燃サイクルが破綻する。だから、国としては『ずっとあいまいにしておこう』ということ。今もまったく同じだ」=つづく

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 この連載は小林直、高島博之、小倉祥徳が担当します。

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 ◇大串・ポネマン会談(要旨)

 大串博志内閣府政務官(当時)と米エネルギー省のポネマン副長官の昨年9月12日の会談内容は次の通り。(敬称略)

 大串 日本は原発のあり方について今週中にも決定する。決定の大枠を申し上げる。2030年代に原発稼働ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入する。核燃サイクルについては「中長期的にぶれずに推進する」という、使用済み核燃料の受け入れの際に青森県と交わした約束を尊重する。従って六ケ所村の再処理工場については完工に向けて進めていく。(高速増殖原型炉)もんじゅについては、研究炉とし成果を確認した後に研究を終了する。

 ポネマン 今伺った話の中には重大な内容が含まれている。第一は人材への影響。未来が原発ゼロであれば、そのような分野に入る人材はいないであろう。2点目は核不拡散に関して。六ケ所は稼働し続けてプルトニウムが分離される一方、もんじゅを研究施設とし原発もゼロになるのであれば、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生み出してしまうのではないか。核不拡散に関して、日本はこれまでリーダーとして数十年にわたって世界の議論をけん引してきたが、今後もリーダーであり続けられるのか。見直しを行えるよう最大限の柔軟性を確保していただきたい。

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