6月25日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル上昇、予想上回る経済統計で緩和縮小観測が強まる
25日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで5日連続高。米国で発表された経済統計が予想よりも良好だったことから、米金融当局が債券購入を縮小するとの見方が強まった。
5月の米耐久財受注と6月の消費者信頼感指数が予想を上回ったことから、ドルは一時の下げを埋めた。ユーロは下落。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロ圏経済の状態が引き続き緩和的な金融政策を必要なものにしているとの認識を示した。
英銀スタンダードチャータードのシニア通貨ストラテジスト、マイク・モラン氏(ニューヨーク在勤)は、「いくつか良好な経済統計が発表され、主要7カ国(G7)通貨に対してドルが押し上げられた」と述べ、「これらの統計のおかげで、最も注目を集めている緩和策縮小をめぐる議論が鮮明になってきた」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対ユーロで0.3%上昇して1ユーロ=1.3077ドル。一時は0.2%安まで下げた場面もあった。ドルは対円で0.1%上昇して1ドル=97円81銭。ユーロは対円で0.2%安の1ユーロ=127円93銭。
円は月初から対ドルで上昇円は月初からドルに対して2.7%上昇した。四半期ベースではユーロが2.1%上昇と主要通貨の中でも最も値上がりしている。一方、最も下げがきつかったのはオーストラリア・ドルの11%安だった。年初来ではドルが最も値上がりしている。
米銀が決済機関デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)へ提出したデータをブルームバーグがまとめたところによると、外為オプションの店頭取引は合計252億ドル。前日は319億ドルだった。このうち対円でのドルのオプションの出来高は45億ドルで、シェアは18%と最大だった。
ブルームバーグの分析によると、この日の対円でのドルのオプション取引は過去5週間の火曜日の取引平均値を42%下回った。
JPモルガン・チェースがまとめる主要7カ国(G7)通貨を基に算出されるボラティリティ指数 は11.82%。前日は11.96%と、2012年1月以来の最高をつけた。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、年内にも量的緩和を縮小させ始め、2014年年央には終了する可能性があると述べた。米金融当局は政府支援機関の住宅ローン担保証券を毎月400億ドル、期間が長めの米財務省証券を毎月450億ドルのペースで購入している。
耐久財受注と消費者信頼感指数米商務省が発表した5月の製造業耐久財受注額 は前月比で3.6%増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は3%増だった。前月は3.6%増(速報3.3%増)に上方修正された。
米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した6月の消費者信頼感指数 は81.4と、約5年ぶりの水準に戻った。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は75.1だった。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は、「景気の強さを示す経済統計がドルを支えている」と述べ、「金融当局が示唆する緩和策縮小のタイミングは経済統計に強く左右されることを考えると、市場参加者は今後も発表頻度の高い経済統計には特に神経質に反応するだろう」と続けた。
主要6通貨に対するドルの動きを示すインターコンチネンタル取引所のドル指数は0.2%上げて82.611。前日は5日以来の最高をつけた。
原題:Dollar Rises as Economic Data Above Forecasts Bolsters FedView(抜粋)
◎米国株:反発、予想を上回る耐久財受注や住宅販売統計を好感
米株式相場は反発。S&P500種 株価指数は前日に付けた9週間ぶり安値から回復した。耐久財受注額や住宅販売件数が予想を上回り、消費者信頼感が改善を示したことが買いを誘った。
住宅建設のパルトグループは大幅高。S&P住宅建設株 指数も上げた。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ(BOA)など金融株も高い。一方、ウォルグリーンは大幅安。四半期決算で利益が予想を下回ったことが嫌気された。サンフォード・C・バーンスティーンが投資判断を引き下げたネットフリックスも安い。
S&P500種株価指数は前日比1%高の1588.03で終了。ダウ工業株30種平均は100.75ドル(0.7%)上げて14760.31ドルで終えた。
パイオニア・インベストメント・マネジメント(ボストン)のポートフォリオマネジャー、ジョン・キャリー氏は「市場はなお米金融当局からのニュースを消化しようとしており、新たな金利水準や今後四半期の証券価格に及ぼし得る影響に備え、見方を変えようとしている。相場がこの水準で安定しつつあることは心強い」と述べた。
米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した6月の消費者信頼感指数は81.4と、前月の74.3から上昇した。5月の製造業耐久財受注額は2カ月連続で前月比3.6%増加し、市場予想も上回った。
5月の米新築住宅販売は予想以上に増加、約5年ぶりの水準に回復した。4月の全米20都市の住宅価格は前年同月比で予想を上回った。
「全ての市場を揺るがす」PFAペンション(コペンハーゲン)のシニアストラテジスト、ウィトルド・バーク氏は電子メールで「量的緩和は全てを押し上げた。同様に、その解除は全ての市場を揺るがすだろう。金融当局からの最近のコメントは発言の影響をやや心配し、なお脆弱な世界経済との関連で相場の荒い反応を望んでいないことを示唆している」と述べた。
中国人民銀行(中央銀行)は25日、複数の政策手段を駆使して短期金融市場の安定を守ると表明するとともに、流動性の逼迫(ひっぱく)は和らぐとの見通しを示した。銀行間資金の取引センターNIFCがまとめた加重平均金利によると、翌日物レポ金利は25日、47bp低下の6%となった。20日には過去最高の12.85%に達していた。
米証券取引所全体の出来高 は67億株と、3カ月平均を4.3%上回った。ブルームバーグがまとめたデータによると、過去3営業日の出来高は約288億株と、2011年8月以降で最高となった。
住宅建設株パルトグループ は3.9%上昇。S&P住宅建設株指数を構成する11銘柄のうち9銘柄が上昇した。同指数は5月14日に付けた高値から前日までに19.6%下落していた。高値から20%と下げると弱気相場入りといわれる。
S&P500種のセクター別 では全10業種が上昇。特に金融株(1.9%高)の上げが目立った。JPモルガンは2.3%高、BOAは3%上昇しダウ平均で上昇率2位となった。
景気敏感株に買いが入り、モルガン・スタンレー・シクリカル指数は1.4%上昇した。ダウ輸送株平均は1.9%高。構成する全20銘柄全てが上昇した。
アシュバートンのファンドマネジャー、ニック・スキミング氏は「米国は安全な逃避先とみなされている。米経済は回復し始めており、短期的に米国株が他の株式市場の成績を上回っていることにつながっている」と語った。
原題:U.S. Stocks Rebound From Nine-Week Low on Housing,Economic Data(抜粋)
◎米国債:下落、経済指標改善で当局の債券購入縮小の観測高まる
米国債相場は下落。10年債利回りは2011年以来の高水準に接近した。この日発表された経済指標では製造業耐久財受注や住宅価格、消費者信頼感が改善し、金融当局による債券購入縮小を後押しする内容となった。
この日実施された2年債入札 (発行額350億ドル)では、最高落札利回りは0.430%で、2年ぶり高水準となった。この入札後、相場は軟調な展開が続いた。10年債利回りは7営業日連続での上昇。これは12年3月以来で最長となる。バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、景気が予想通りに回復した場合、年内にも量的緩和を縮小させ始め、14年年央には終了する可能性があると述べた。
グッゲンハイム・パートナーズ(ニューヨーク)の米政府債トレーディング担当ディレクター、ジェーソン・ローガン氏は「金融当局が経済予測で示した景気認識と一致した指標がいくつか出始めている」とし、「きょうのような力強い経済指標が続けば、当局は緩和縮小に近づくと想定される」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.61%。一時2.48%に下げる場面もあった。前日は2.66%と、11年8月以来の高水準を付けた。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格はこの日、19/32下げて9218/32。
既発2年債利回り は2bp上昇の0.41%。前日は0.43%と、11年7月以来の水準に上げた。30年債利回りはこの日8bp上昇し3.62%。
米政府債のディーラー間ブローカーで最大のICAPによると、米国債の出来高は前日比12%減少して4780億ドル。年初以降の平均は3200億ドル。
10年債の相対力指数10年債の相対力指数 (RSI、14日間)は79.8に上昇。同指数が70を上回ると利回りが反転する可能性を示唆する。
ブルームバーグ米国債指数によれば、米国債は今月に入りこれまで1.9%下落。年初からは2.9%下げている。またバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によれば、4-6月(第2四半期)ではこれまでに2.6%下落。
この日相場は一時上昇。流動性逼迫(ひっぱく)で中国の成長が減速するとの観測から、安全資産を求める動きが広がった。その後、中国人民銀行が短期金融市場の安定保持を表明し、米経済指標で景気改善が示されると、米国債は下げに転じた。
堅調な経済指標米商務省が発表した5月の製造業耐久財受注額は前月比で3.6%増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は3%増だった。前月は3.6%増(速報3.3%増)に上方修正された。
変動の大きい輸送用機器を除く受注は0.7%増で、こちらも市場予想を上回った。
RBCキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ジェイコブ・オービナ氏(ニューヨーク在勤)は「製造業は軟化局面にあったが、下期を前に調子が戻る可能性がありそうだ」と述べた。
米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した6月の消費者信頼感指数 は81.4と、約5年ぶり水準に上昇した。全米20都市を対象にした4月の米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で12.1%上昇。また5月の新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比2.1%増だった。
財務省が実施した2年債入札では、投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.05倍と、11年2月以降で最も低かった5月入札の3.04倍とほぼ同じだった。過去10回の入札の平均は3.63%。
同省は26日に5年債(発行額350億ドル)、27日に7年債(同290億ドル)の入札を実施する。
原題:Treasuries Decline as U.S. Data Support Case for FedTapering(抜粋)
◎NY金:続落、米経済指標が景気改善を示唆-緩和策縮小の観測
ニューヨーク金先物相場は続落。米経済改善の兆しを背景に、金融当局が緩和策を終了するとの観測が強まった。
米製造業耐久財受注は予想を上回る伸びとなったほか、消費者信頼感指数は約5年ぶり水準に上昇した。先週は米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が、景気改善が続くなら資産購入プログラムを縮小する可能性があると発言したことをきっかけに、金は週間ベースで6.9%下落した。
フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レシュ氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、「こうした良好な経済のニュースは金にとって好ましくない」と指摘。「金は非常に売られやすい状況にあり、ドルの堅調も金を一段と押し下げている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比0.2%安の1オンス=1275.10ドルで終了した。
原題:Gold Futures Fall for Second Straight Day on U.S. EconomicData(抜粋)
◎NY原油:小幅続伸、米耐久財受注が予想以上に増加
ニューヨーク原油先物相場は小幅続伸。米製造業耐久財受注が予想以上に伸びたことが影響した。
米商務省の発表によれば、5月の製造業耐久財受注は前月比3.6%増加した。カナダ産原油の対米輸送で最大手のエンブリッジ は、アルバータ州でオイルサンドパイプライン網の一部で操業を再開した。これらのパイプラインは洪水の影響で輸送を停止していた。
シュナイダー・エレクトリック・プロフェッショナル・サービシズの商品アナリスト、ジェイコブ・コレル氏(ケンタッキー州ルイビル在勤)は「耐久財統計が持ち直していることは経済が少しは活気を取り戻しつつある兆候だ」と指摘。「エンブリッジのパイプラインが再稼働しつつあり、今後の価格は軟調になると予想される」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前営日比14セント(0.15%)高の1バレル=95.32ドルで終了した。
原題:Crude Rises for Second Day as U.S. Durable Goods OrdersIncrease(抜粋)
◎欧州株:反発、中国の信用逼迫懸念が後退ー米経済指標も支援材料
25日の欧州株式相場は上昇。指標のストックス欧州600指数は前日付けた6カ月ぶり安値から反発した。中国人民銀行(中央銀行)の措置で信用逼迫(ひっぱく)懸念が後退したことが手掛かり。米経済指標で、耐久財受注や新規住宅販売件数、消費者信頼感がエコノミスト予想を上回ったことも支援材料となった。
フランスの自動車メーカー、プジョーシトロエングループ(PSA)は4.9%上昇。欧州でクロスオーバーの新型モデル「2008」の受注数が2万6000台を超えたと発表した。仏建設会社のバンシは3.9%高。ベレンベルグ銀行が同銘柄の投資判断を「買い」で始めた。半導体設計を手掛ける英ARMホールディングスは3.6%上げた。インベステックによる買い推奨が好感された。
ストックス欧州600指数 は前日比1.5%高の279.69で終了。2カ月ぶりの大幅高となった。
HSBCホールディングスの資産配分部門の世界責任者、フレデリック・ナーブランド氏(ロンドン在勤)はブルームバーグテレビジョンに対し、「4月以降、リスクオフの状態にあるため、現在は買うタイミングを計るのが難しくなっている」とし、「リスクをとるためには、相場が安定しなければならない。景気見通しが一段と安定するのが必要で、これには時間を要する」と語った。
中国人民銀行が25日ウェブサイトに掲載した声明によると、短期金融市場の安定を図る目的で複数の金融機関に流動性支援を提供した。中銀はまた、短期流動性オペや常設の融資ファシリティーなどの政策手段を通じて銀行システム内の流動性を調節し市場の期待を安定させると表明した。
25日の西欧市場ではイタリアを除く17カ国で主要株価指数が上昇した。
原題:European Stocks Rebound on ChinaLiquidity Comments, U.S. Data(抜粋)
◎欧州債:イタリア債下落、入札で利回り上昇-独債は上げ消す展開
25日の欧州債市場ではイタリア国債が下落し、10年債利回りは約4カ月ぶりの高水準となった。45億ユーロ規模の証券入札で利回りが前回を上回ったことが手掛かり。
ポルトガルとアイルランドの国債も下げた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は引き続き緩和的な金融政策が必要との認識を示したものの、国債相場の支援材料にはならなかった。ドイツ国債は一時の上げを消した。6月の米消費者信頼感指数がエコノミスト予想を上回る伸びとなったことを背景に、比較的安全な資産に対する需要が後退した。イタリアは2015年償還ゼロクーポン債のほか、インフレ連動債も発行した。
ニューエッジ・グループ(ロンドン)のストラテジスト、アナリザ・ピアッツァ氏は「ゼロクーポン債の利回りは極めて高かったが、過去数日の相場下落を考慮すれば驚くには当たらない」と述べた上で、入札結果が「好感されなかった可能性がある」と付け加えた。
ロンドン時間午後4時17分現在、イタリア10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.87%。一時は4.90%と、2月27日以来の高水準となった。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.315下げ97.525。
ポルトガル10年債 利回りは8bp上げ6.89%、同年限のアイルランド国債利回りは3bp上昇し4.29%。
ドイツ10年債利回りは1.80%と、前日からほぼ変わらず。一時は5bp低下した。前日には1.85%と、2012年4月以来の最高に達した。
英国債市場では30年債相場が4営業日続落。英公債管理局(DMO)が銀行団を通じて2068年償還債を50億ポンド発行したことが背景にある。
ロンドン時間午後4時44分現在、30年債利回り は前日比3bp上昇の3.62%。前日は3.62%と、2011年9月以来の高水準となった。同国債(表面利率3.25%、2044年1月償還)価格はこの日、0.59下げて93.195。
原題:Italian Bonds Fall as Yields Climb atAuction; Bunds EraseGain(抜粋)U.K. 30-Year Gilts Drop Fourth Day on Sale asNotes Rally on BOE(抜粋)
更新日時: 2013/06/26 06:51 JST