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大槌の「赤武酒造」 盛岡工場完成、仕込み万端
 | 再建した工場の前で看板商品の清酒「浜娘」を手にする古舘社長=盛岡市北飯岡1丁目 |
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東日本大震災で被災した岩手県大槌町の「赤武酒造」が、盛岡市北飯岡に新工場を建設した。近くリキュールの製造を始め、10月には待望の清酒の仕込みに入る。自前の酒蔵を前に、従業員らは「前よりうまい酒を造る」と決意を新たにしている。
同社は1896年創業。主力の清酒「浜娘」は町の地酒として長年親しまれたが、津波と火災で工場は全壊した。 古舘秀峰社長(48)は「どうやって店を畳もうか」と考えていた。先代から引き継ぎ、守り続けてきた蔵はもうない。再起は諦め、毎日をぼうぜんと過ごした。 取引先を1軒ずつ報告に回ると、前向きな言葉を掛けられることに驚いた。「また酒を造ったら届けてよ」。冗談とも思ったが「造ろうと思えば、もしかしたら再開できるのでは」と背中を押された。 酒を醸す設備を借りるため、清酒工場を訪ね歩いた。盛岡市の桜顔酒造が受け入れてくれたが、自前の工場への思いは消えなかった。 グループ化補助金の対象事業者に採択され、工場再建費用の4分の3の補助を受けられることになった。「また工場が持てるのか」。喜びに体中が震えた。昨年11月、念願の建設が始まった。 新工場は「蔵」をイメージするため白と黒を基調にした。機械の導入を進め、7月末ごろに竣工(しゅんこう)式をする。3年後をめどに、震災前の年間生産量6万本を上回る8万本を目指す。浜娘は10月中旬に仕込み、12月の初出荷を予定している。 「この蔵は支えてくれた皆の蔵。前よりうまい酒を造って、一日も早く届けたい」。古舘社長は固く誓い、新たに雇った従業員4人と稼働の準備に奔走している。連絡先は019(681)8895。
2013年06月26日水曜日
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