UPDATE 1-伊・スペイン入札で利回り上昇、主要中銀の緩和縮小懸念を反映
(内容を追加しました)
[ミラノ/マドリード 25日 ロイター] - イタリアとスペインが25日に実施した国債入札では、主要中銀による緩和縮小への懸念を反映し、落札利回りが上昇した。
イタリア政府が実施した2年債入札では、利回りが昨年9月以来の高水準に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が年末までに量的緩和策の規模を縮小し始める可能性を示唆して以来、リスク性の高い資産には圧力がかかっている。
イタリア政府は2015年6月30日償還のゼロクーポン債入札で35億ユーロを調達した。利回りは2.40%で、1カ月前のゼロクーポン債入札の1.11%から上昇した。ただ前回のゼロクーポン債の償還期限は今回よりも6カ月短かった。
スペイン政府が実施した期間3カ月と9カ月の短期債入札では、調達額は31億ユーロ(41億ドル)と、目標の20億─30億ユーロを上回ったものの、利回りは1カ月前の入札時から大幅に上昇した。
3カ月物の調達額は9億3390万ユーロ。平均利回りは0.869%。前回5月21日は0.331%だった。応札倍率は2.9倍。前回は4.3倍だった。
9カ月物の調達額は21億ユーロ。利回りは1.441%と前回の0.789%から上昇。応札倍率は2.4倍。5月は2.2倍だった。
スピロ・ソブリン・ストラテジーのマネジングディレクター、ニコラス・スピロ氏は、「ユーロ圏債務危機が再燃していると考えることは時期尚早だが、スペインとイタリアが資金調達コストの一段の上昇に耐えられない時に、両国に対し圧力が再びかかり始めている」と述べた。
入札結果が伝わった後、流通市場でスペイン10年債 利回りは5%をやや超える水準に、イタリア10年債利 回りは4.83%に上昇。ともに5月に付けた低水準から約1%ポイント上昇した。
ただ、スペインとイタリアは資金を前倒しで調達。今年必要な資金のうち、イタリアは中長期債の60%以上を、スペインは中期債の約3分の2をすでに発行している。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の欧州・中東・アフリカ(EMEA)ソブリン部門責任者、モーリッツ・クレーマー氏は、「この2週間ほどでわれわれが見てきた動きをとっても、例えば昨夏のような危険水域からはほど遠いと言える。こうした国々の多くはかなりの資金調達を事前に行っているので、差し迫った脅威はない」としている。
イタリアは26日に80億ユーロの6カ月物短期証券入札、27日に最大50億ユーロの長期債入札を実施する。24日にはミラノ地裁が未成年者の買春罪などに問われたベルルスコーニ元首相に対し禁錮7年の判決を言い渡しており、市場ではイタリア政局の行方も注目されている。
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