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【社会】

あずきバー 40年の味 あす千代田区で記念イベント

発売から40周年を迎えた看板商品「あずきバー」。手前は発売当初のパッケージ=津市高茶屋の井村屋グループ本社で

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 井村屋グループ(津市)の看板商品「あずきバー」が今年、販売開始から四十周年を迎えた。息長く愛されている和風アイスの代表格。その横顔に迫った。 (相馬敬)

 あずきバーの発売は一九七三年。「あん作りの技術をアイスに生かせないか」。和菓子店が発祥である井村屋の初代社長、故井村二郎さんの一言で開発に着手した。

 適度な粘り気を出しつつ粒の形も残す小豆の炊き方、まんべんなく小豆を散らす方法などを工夫し、一年かけて商品化に成功。当時、アイスキャンデーは一本十円が主流だったが、大人向けに高めの三十円に設定した。

 当初は大ヒットとはいかなかったが、スーパーやコンビニの普及に伴って冷凍食品売り場が充実し、売り上げは伸びた。猛暑だった二〇一〇年度は過去最高の二億五千八百万本を販売。井村屋本社の売り上げの二割を占める主力商品だ。

 硬い食感が特徴のあずきバー。その理由は原材料にある。一般のアイスクリームは、高カロリーの乳脂肪分が含まれているから冷凍しても軟らかいが、あずきバーには入っていない。小豆と砂糖、コーンスターチ、塩のみで作られており、軟らかい食感を出すための食品添加物も使っていない。だから、井村屋グループ経営戦略部の岩本康さん(49)は「硬さは安全の裏返し」。アイスクリームやラクトアイスと違って「氷菓」に分類される。

 税別百円のあずきバー一本に約百三十粒の小豆を使用。六十円のバーは約八十粒。小豆の市場価格は年によって乱高下するが、生産ラインの効率化などで商品の値上げを抑え、それぞれ八〇年、九二年から価格を据え置いている。六十円のあずきバーが六本入った箱の商品も八八年の発売から三百円のままだ。

 毎月一日に小豆を食べる風習はすたれつつあるが、井村屋グループは七月一日を「井村屋あずきバーの日」に定め、街角でバーを配ってきた。今年は六月二十六日に前倒しして、四十周年記念行事の一環として、東京都千代田区の東京サンケイビル・メトロスクエアで午後零時十五分から、四千本を無料で配る。

 岩本さんは「四十〜五十代の主婦が家族用に箱の商品を買う場合が多い。今後は購買力のある若い女性層を取り込みたい」と話す。

 井村屋グループの浅田剛夫会長(70)の口癖は「飽きない味が、商いにつながっている」。需要を掘り起こそうと、あずきバー好きを公言する人気デュオ「ゆず」の北川悠仁さんが出演するラジオ番組とのタイアップ商品作りも進めている。

 <井村屋グループ> 1896年創業。持ち株会社の井村屋グループの傘下に、菓子・食品事業を手掛ける井村屋など国内外8社がある。3月末のグループ従業員は856人。2013年3月期決算の連結売上高は337億円。あずきバーは専門商社を通じて輸出され、現在は米国など海外の5カ国でも販売されている。

 生産工場は津市、愛知県豊橋市の2カ所。

 

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