--改正案提出の理由として欧米などの「国際的動向」が挙げられている
「実写の児童ポルノの単純所持に関しては欧米の多くの国で規制されているが、少なくとも漫画・アニメ規制の国際潮流はない。実写と創作物を混同した議論がなされていないか」
--規制強化を求める市民もいる
「この問題は、年配世代が自分たちに理解しがたい若い世代の文化を規制したいという世代間闘争の面がある。だが国は、漫画やアニメを海外に発信する『クールジャパン戦略』を進めているのだから、やたらに規制をかけたりせず見守るべきだ。国家が文化に対し、あれはいい、これは悪いと介入すべきではない」
■平沢勝栄氏「単純所持の規制も必要」
--なぜ単純所持に罰則が必要か
「児童ポルノが出回り、警察による検挙も増えている状況がある。相当数の児童が強姦や強制わいせつなどの被害に遭い、しかもネット上にその画像などが出回っており、将来にわたりダメージを受けることになる。これを救済するには、そうした画像の所持自体を規制しなければならない。現行法でも製造や販売には罰則があるが、それだけでは不足だ。もう一つに、国際的潮流として、単純所持が欧米の多くの国で規制されていることがある。児童ポルノ禁止について、日本だけが後ろ向きと取られてしまうのはまずい」
--麻薬や拳銃並みに所持が犯罪となると、別件逮捕などの懸念もある
「罰則適用には『性的好奇心を満たす目的で所持』という条件があり、捜査当局が裏付けなければならず、簡単にはいかない。捜査機関に新たな権限が加わるわけだが、警察出身者として言えば、これだけ関心が集まる中で無茶な捜査などできるわけがない。警察も国民の支持を気にしており、運用は自制的になされるだろう。たとえば悪意のメールで送りつけられた画像を持っていて逮捕されることはあり得ず、親が子供の入浴を撮った写真や、(撮影当時『児童』に該当する17歳という説もある)宮沢りえさんのヌード写真集などの所持も、検挙できるわけがない。たしかに捜査当局の行きすぎで市民の権利が損なわれる可能性はなきにしもあらずだが、そこは私たち国民がしっかりチェックすればいい。まず被害児童の救済を考えるべきだ」