自民・公明・日本維新の会の3党が今国会に提出した児童ポルノ禁止法改正案が議論を呼んでいる。主な争点は、子供のわいせつな写真などの「単純所持」を禁止し「1年以下の懲役、または100万円以下の罰金」を設けたことと、検討規定として漫画やアニメと児童の権利を侵害する行為との関連性についての「調査研究」を盛り込んだことの2点。法案を提出した自民党の平沢勝栄衆院議員と、反対するみんなの党の山田太郎参院議員に聞いた。(磨井慎吾)
■山田太郎氏「漫画などは切り離して」
--改正案のどこが問題か
「3点ある。1つは単純所持の禁止。もちろん児童を被写体とした画像や写真などの製造配布は、取り締まらなければならない。だが所持自体を禁止すると、摘発など捜査機関の裁量によるグレーゾーンが大きく、問題がある。運用に気をつけるから大丈夫だと言うが、実際に単純所持を違法とした韓国や米国、英国などの諸外国では、さまざまな冤罪(えんざい)が増えた。たとえばわが子への授乳写真が児童ポルノと判定され、逮捕されるような例が現実に何件も起きている。2点目は、画像の流通阻止のためとして、ネット事業者に捜査機関に協力するよう努力義務を盛り込んでいる点。ウェブサイトへの実質的検閲につながる懸念がある」
--3点目は?
「最大の問題は、アニメ・漫画の規制を見据えた『調査研究』が盛り込まれている点だ。法案の検討規定では、漫画やアニメが児童の権利を侵害する行為と関係があるかを調べ、3年後をめどに規制など必要な措置を講じる、としている。だが、児童ポルノの被害者になった実在の子供の人権を守るというのが法の趣旨なのに、実際の被害者が存在しない漫画やアニメの話を盛り込むのはまったく筋が違う話だ」
--なぜ抱き合わせではいけないか
「被害児童の写真の流出を防ぐというのが本意なら、漫画などの規制にからむ部分は切り離して、別の法案として出せばいい。もっとも漫画・アニメ大国と言っているわが国でそんな法案が出れば、国際的な物笑いの種になるだろうが。それを児童ポルノの単純所持規制と抱き合わせた形にして通そうとするのは、どさくさまぎれに自分たちにとって不愉快な表現を規制したいという意図があるのかと疑われる。そもそも創作物の悪影響を危惧するのであれば、漫画は対象なのに小説は含まれないというのも本来は理屈に合わない。この法案が通れば、架空の創作物に対して規制の網が広がっていく恐れがあり、文化の衰退につながる」