ニュースランキング

'13/6/25

架橋撤回1年まちづくり停滞



 広島県の湯崎英彦知事が、福山市鞆町の鞆港埋め立て・架橋計画の撤回を表明し、25日で1年。県はこの間、反発する架橋推進派住民との溝を埋められずにきた。宙に浮いたまちづくりに、反対派住民からも不満の声が上がる。5月、知事と羽田皓市長はほぼ1年ぶりに会談。ようやく緒に就いた行政の模索を、住民は注視している。

 幅平均約4メートルの鞆町中心部の県道。道沿いで酒店を営む武内(たけのうち)孝之さん(36)が、1階の新しい軒瓦を見やった。「昨年秋にトラックにぶつけられ、直した」。古い町家が残る散策エリアだが、離合のために民有地に乗り上げる車が瓦や看板にぶつかる事故は後を絶たない。

 「この混雑では観光客も散策しにくい。安心安全な生活と観光振興の両方のために架橋の実現を待っていたのに」という。

 湯崎知事が昨年7月に開いた説明会は、推進派住民の大半が「日程調整がなく住民無視」として欠席。その後も双方の隔たりは大きく、知事と推進派住民の対話は今年2月、やっと懇談会という形で実現した。

 ただ住民にまだ進展の実感はない。

 駐車場増設、パークアンドライド、町並み保存基金の創設…。県が、観光と生活双方を重視したとして1年前に示した架橋の代替策は、山側トンネルに多様な案を組み合わせていた。「江戸期の港湾施設を生かした観光振興に期待した。でも1年で何も進まなかった」。架橋反対派でNPO法人鞆まちづくり工房の松居秀子代表(62)は肩を落とす。

 湯崎知事と羽田市長は5月の会談で「鞆のまちづくりに待ったなしで取り組む」と確かめ合った。県と市は、7月にも知事と推進派住民の懇談の場を設ける方向で調整中。住民との仲介役として、市の努力も鍵を握る。

【写真説明】鞆町中心部の狭い県道。武内さんの酒店(右端)では昨年秋、トラックが軒瓦にぶつかった




MenuNextLast