こうなることは薄々わかってはいたのだが……。

と、花澄がため息をついた時。

雪也が道路脇の案内板の前で足を止めた。

自然な仕草で美鈴の手をすっと自分の腕から外し、ポケットから携帯を取り出す。

雪也が使っているのは最新型のスマホで、花澄も前に何度か見せてもらったことがある。


「五所神社の例祭、今年は6月14日かー……」


雪也はスマホでカレンダーを確認しながら呟く。

五所神社は材木座の氏神で、毎年6月の第二週に例祭を行っている。

氏子の男性達が神輿を担いで町内を練り歩き、材木座海岸に渡御し豊漁・豊作を祈願する祭りだ。

五所神社は『東洋合繊』の祀神でもあり、毎年この祭りにかなりの額を寄付しているらしい。

そして雪也も、毎年この祭りに参加している。


「雪くん、今年も神輿を担ぐの?」


と花澄が聞くと。

雪也はくすりと笑い、花澄を見下ろした。



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