ため息をつくまゆ。
「――遅くなったな」
「え? あ、そうだね……」
深青の声に、壁にかかっている時計を見れば、確かに時間は深夜に近い。
「あ、あの、お布団一つしかないんだけど……」
また心臓の鼓動が早まるのが自分でもわかる。
「馬鹿だな。俺が案外寝相いいって知ってるだろ?」
「うん……」
茶化すように笑う深青に、こっくりとうなずいたまゆだったが――
気持ちは複雑だった。
以前、彼の部屋に寝泊まりしていた時も、一つのベッドで眠っていたのだが、距離が近い分恥ずかしいということをうまく説明できなかった。
二人でまゆが敷いたお布団の中にもぐりこむ。
明かりは一番小さいのに絞り、暗闇にはしなかった。
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