「少し、寝ていいか」
「はい、着きそうになったら起こします」
「頼む……」
それから間もなくして、深青は深く眠りに落ちた。
端整な顔には、深く疲労のあとが見える。
しばらく深青を見つめていたまゆだったが――
彼が完全に寝入っているのを確認してから、そっと手を伸ばし、いつも彼が自分にするように頬に指を這わせる。
陰りのない肌はすべすべしていて、柔らかくて。
許されるなら永遠に触っていたいと思うほどで。
毎日忙しいんだろうな……。
普段はそんなそぶりを見せないけれど、彼はいくつもの会社を持っていて、世界中を飛び回っている。
「深青……」
あなたはたくさんの荷物を抱えている。それは責任と言うのかもしれない。
自分とは生まれた世界が違う。そして住む世界も違う。
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