日本経済をボロボロにする人々

 偽善を装う自称弱者、総合的に見て強者であるにも関わらず弱者を演出して年金や医療費を通して若者の報酬にたかろうとする強欲の高齢者、そしてこういう弱者を装う税金泥棒達を擁護し食い物にするマスコミや評論家や政治家など、日本を滅茶苦茶にする既得権受益者達の跋扈をこれ以上見過ごすわけにはいかない! 日本全体をミスリードする馬鹿どもを徹底的に叩くために作ったブログ。

もの作り

技術革新の恩恵

 MGRブログのコメントの中の一文。

 nnnhhhkkkさんは技術革新によって貧乏人でも昔に比べて豊かになったことはことは認めていらっしゃるご様子。貧乏人でもバイトすれば軽自動車が手に入るようになった、とか語ってらっしゃいますし(だから技術改革を促進したデフレは悪ではない、という論調でした。いや違うから、それは自動車業界がデフレに頑張って対応しただけであって、本来なら相応の値段で売られるべきものをデフレ下においてある意味「不当に」安く手に入れてるだけだから、それ不健全な状態だから。それにデフレが続けばその技術革新もやがては投資を削られておぼつかなくなるのですけれども……)。
 技術革新による生産性向上というのは、供給力の向上であり、すなわちデフレ圧力です(供給>需要がデフレだから)。インフレが嫌なら、これを推進すれば良いわけですね。もちろん他にもデフレ圧力はたくさんありますが。

全文のうちの一文(へび散漫 2012/11/11 7:14 PM)

 この文章を読むと、自動車業界はデフレに頑張って対応しただけとか意味不明なことを書いているが、製造業では労働集約的な産業も含めて常に技術革新による生産性の向上は当たり前のようにやっている。大卒初任給が1万円前後だった時代には小さな画面の白黒テレビが20万円ぐらいしていたこともあるそうだが、これが今や20万円も出せば画面も大きくて高性能なハイビジョンのカラーテレビが買える時代になっている。
 インフレだった時代でも量産化が可能で技術革新による生産性の向上が見込める業種では、常に製品の価格は下がり続けていき、性能の向上と共に人々の生活を豊かにしていくことになった。今や一家に数台のテレビは当たり前。ハードディスクやSDカードやUSBメモリーなどの記録メディアの劇的な性能の向上によって、録画時間も低価格で気軽に増やすことができたりと、技術革新によって昔の大金持ちでもできなかった物質的に豊かな生活を今の貧乏人はできるようにまでなっていった。
 軽自動車を含む小型車だって、バイトを頑張れば学生でも買えなくはない。しかもパワステ、ABS、エアコン、エアバックなどが標準装備なのは当たり前。エンジンの性能も、大昔の高級車よりも優れているし、排ガスも綺麗になっている。昔の金持ちでも乗ることのできなかった高性能な自動車を、今の若者も頑張って働けば所有することが可能な豊かな時代になった。
 そしてバブルの頃と比べても、やっぱり当時の人より今の人の方が物質的に豊かになっている。テレビは大画面が安く買えるようになり、しかもコンパクトだから壁掛けも可能で、大型テレビでも部屋を広く使うことができる。エアコン(クーラー)の普及率だってバブルの頃は70%ぐらいだったのに、今や90%にまで普及率は上がっている。そしてインバータによって省エネ性能も当時より上がっている。インターネットの普及のおかげで、新聞やテレビを見なくても世の中で起きた出来事を電気代や通信費などを考慮しても安く情報を得られるようになっている。しかも携帯電話やスマートフォンによって、外にいながらにして情報を得ることもできるようになった。
 バブルの頃のように、すぐ現金が入る状況ではないが、当時の人では得ることのできなかった高性能品を、今の人は手にすることができるようになっていて、これはインフレだろうがデフレだろうが関係のないことで、豊かさというものは常に科学者や研究者によってもたらされることを意味する。そしてその多くは民間の力によるもので、政府はインフラを整備するなどの縁の下の力持ち程度の役割であり、公共投資をインフレかデフレかで増減させることによって生まれるものではない。
 革命は暴力で権力を奪い取ることで起きることもあるが、科学技術の場合は今までの既存の産業を潰して産業界に変化を起こし、人々の生活スタイルや行動や法律まで変える革命を引き起こす。新しい技術が生まれることによって新しい産業が生まれて、かつてあった産業を縮小させたり潰したりもする。そういう構造転換の中で、常に設備は古臭いものになって役立たずになるし、新しい産業によって潰されなかったとしても、新しい高性能な設備の登場によって古い設備は高コストで使えなくなる事もよくあることだ。こういう産業の転換を目の当たりにすれば、需給ギャップの概念なんて計算できないものに無理やり数字を付け加えて35兆円のデフレギャップがあるだのと言っている某人物の戯言は非常に虚しく感じるのは自分だけではないだろう。

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もの作り幻想の夢の果て

 愚かな偽善者が使う単語はいくつかある。助け合い、拝金主義、格差社会、内部留保、強欲資本主義などなど、結局のところ金持ちや大企業から略奪して自分のふところを潤そうと考えているだけの拝金主義の強欲でしかない。決して自らはリスクを取ったり努力することなく奪い取って自分を潤そうとする、極めて人間として最低な行為をやるのが社会主義者という生き物だ。しかも本人に社会主義者という自覚がなぜかないことが多い。人間が強欲なのは当たり前。しかし、自分もその一人だという自覚症状がない。
 しかも現実を見ないで日本の技術力は素晴らしい。外国人には真似できない。だからもの作りを大切にしよう。なんて冗談にもほどがあることを平気で言ってしまう不思議な人々が多い。とくに民族主義者で国家社会主義者にこういう輩は多い。そのくせして自分達はもの作りに携わっていないただの評論家だ。
 現場で働いている人からすれば、もう日本じゃなきゃ作れない物はほとんど存在しないと感じていることだろう。海外の人材の技能レベルが以前と比べて上がってきて、もはや日本人の優秀な技能者とそん色ないレベルになっているのが実情で、それをわかっていないのがもの作りを称賛したがる口先だけの評論家という偽善者だ。

 当たり前すぎて説明するのもあれだが、戦後の高度成長は、単に安い賃金を利用して輸出主導で成長しただけに過ぎず、日本人がもの作りに優れていたからではない。そして日本人の手先が器用だからでもないし、ついでに言うと終身雇用や年功序列制度のせいでもない。人件費の安い人材が大量に供給(←団塊の世代)され、安い人件費を利用して海外で売れている物を物真似して類似品を作ってシェアを奪い取ったに過ぎない。もちろん日本人の技能が特別優れているからでもない。
 そして日本人の人件費が高騰してしまうと、労働集約型のもの作りは高度な技能が必要な分野以外はほとんどが海外委託や海外移転に頼るしかなくなってしまう。そして海外の市場が開かれてから時間が流れると、現地の人間にも高度な技能を持つ職人が必然的に生まれてくるようになる。そのため、今までは海外でできなかった物も安い人件費のアジアで作れるようになってくる。こうなると更に日本人のもの作りの人材は必要なくなる。完成品メーカーや装置メーカーは、お前らが作る金型は高いからアジアで買う。文句あるなら安くしろと、今まで大事にしていた職人をコケ下ろすようになる。

 更に不思議なのは、社会正義を振りかざす評論家は労働者を大事にして待遇を改善しろと言ってのける。企業は内部留保(←現金であるかのごとく捏造するこんな単語を使うのは例外なく偽善者)をため込んでどうたらこうたら・・・。もの作りを重視すると言いながら、労働者を大事にしたら空洞化が進むだけなのに矛盾したことを言う。ようするに、現実を無視して理想を言っているだけでしかないのだ。
 そして偽善の理想を追い続けるからエルピーダメモリの出資の失敗にも誰も怒らない。これが金融だったら目くじら立てて怒り狂う連中がエルピーダの失敗だとなぜか沈黙するのだから日本の病巣を見るようだ。
 もはや世界は徹底してモジュール化して単純化してコストをいかに下げて規格をデファクトスタンダード化するかの世界になってきている。つまり、ほとんどの物はどこの国でも作れるようになってきている。そしてそこに高度な技能が必要な分野はどんどん縮小されていくようになる。今や携帯電話の金型は納期がたった1日だとも聞いた。そこに人の技能の関与は当然ない。せいぜい設計ぐらいだ。
 携帯電話の金型を見てもわかるように、日本に残るもの作りは資本集約型中心とならざるを得ないのだ。そしていかに人を雇わずに物を作れるかの競争に入っている。そして、いかに稼働率を上げてコスト競争に打ち勝つかの世界に入っていて、もの作りで新しい雇用はほとんど生まれないだろう。
 DRAM半導体が日本に合わない産業だとは思わないが、国際分業の時代に入っていてすべてを1社で自己完結する古い方式では競争が難しいことになるのは結果的に言ってしまえば必然だっただろう。おかげで需要減退期には稼働率が大幅に下がって採算が合わなくなってしまっていた。それでも他社からも生産を請け負うOEM生産もやっていれば稼働率は上がっていたかもしれないが、景気のいい時に自社製を作った方が儲かるからそれができなかった。これはシャープにも言えることで、自社ブランド優先に液晶を供給したために景気の悪い時には稼働率が下がって減価償却費が重荷になって大赤字になってしまった。

 硬直化した雇用制度で時代に合わない既得権がはびこったことも要因として当然ある。更に派遣切り騒ぎを起こした偽善者達と、それに乗っかった時代遅れの政治家達のせいで、時代に合わない制度が更にひどくなる気配である。おまけに世界一高い法人税ときたら、もはや日本でもの作りをやる意味などほとんどない。
 大手企業が逃げれば、時間的コストで海外の素材産業と競争できた中小企業もかなり潰れてしまうことだろう。儲かっても巨額の税金で取られるぐらいなら無理に日本で作る意味もないし、日本は穀物などを除けば関税も少ないから海外で作って日本で売ればいい。そして空洞化が本格化すれば国内に高度技能者もいなくなってあらゆるものが海外に移転することになる。
 そしてあらゆる税金が高いままだと金融もあまり発達しないで主導権は税金の安いシンガポールや香港に取られて更に日本はじり貧となる。偽善が大好きな愚かな評論家や嫉妬が先行して相続税に心酔している馬鹿学者達(森永卓郎、池田信夫、金子勝、飯田泰之、和田秀樹など)や馬鹿政治家(経済を政治の力でコントロールしてやろうと勘違いしている政治家全員)がいる限りはいつまでたっても産業構造の転換が遅れることになる。

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大型化する日本車

プリウス 自動車雑誌を見ていて感じたことだが、最近は自動車の大型化が進んでいる。全長×全幅×全高を見れば一目瞭然である。全高はともかくとしても、車種によっては全長と全幅の拡大化が著しいのは間違いない。

 初代プリウス=全長4310、全幅1695
 二代目プリウス=4445、1725
 三代目プリウス=4460、1745

 初代エルグランド=4740、1775
 二代目エルグランド=4835、1795
 三代目エルグランド=4915、1850

 六代目アコード=4635、1695
 七代目アコード=4665、1760
 八代目アコード=4730、1840

 八代目セドリック=4800、1745
 九代目セドリック=4870、1765
 十代目セドリック=4860、1770
 フーガ(セドリックの後継車種)=4930、1805
 二代目フーガ=4945、1845


 有名どころを出してみたが、日本車が全体的にどんどん大型化しているのは否定しようがない(外車もその傾向はあるが、とりあえず無視)。決して大型化することが間違いだとはおもわないものの、昔日本車という小型車にやられてたアメリカの自動車メーカーに近づいてきているような気がしてしまうのである。
 自動車の値段もフルモデルチェンジをするごとに高くなっている。エアコン、カーナビ、エアバック、ABSなどなど、あらゆるものが標準装備になっているせいもあるが、今や小型車でさえ100万円以下で新車を買うことが難しくなっている。
 自動車が売れなくなっているのはいくつか理由がある。高齢者が増えたり人口が減少すれば需要は減る。そして都市部に人が移動すれば自動車は不要になる。耐久性のアップも要因としてあるだろう。そしてもう一つは日本の道路事情を考慮していない最近の車作りと値段の膨張もある。
 これはあくまでも個人的な意見だが、フルモデルチェンジごとに大型化するのはもうお終いにして、そろそろダウンサイジングの方向に向かうべき時ではないだろうか?狭い道路の多い地域に住んでいる人には使い勝手が悪くなっていると思われる。ちなみにクラウンはダウンサイジングをするらしい。

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【企業】 "シャープ、大ピンチ" 過去最悪の最終赤字…テレビの消沈で生存の岐路★2

1 :☆ばぐた☆ ◆JSGFLSFOXQ @☆ばぐ太☆φ ★:2012/02/28(火) 18:48:23.80 ID:???0
    ・シャープの業績が著しく悪化している。今2012年3月期の営業利益は、従来の微増益予想から
     一転、均衡圏近辺に、最終損益では過去最悪の赤字額となる見通しだ。東洋経済では従来から
     会社計画の達成は難しいとみていたが、ここまでの急落は想定外だった。

     2月1日修正後の会社計画は、売上高2兆5500億円(前期比15.6%減)。営業損益ゼロ(前期は
     789億円の黒字)。純利益は新たに1200億円の繰延税金資産取り崩しを迫られ、2900億円という
     巨額赤字(前期は194億円の黒字)に陥る。従来の会社計画に比べ、売上高で2500億円、
     営業利益で850億円。純利益で2960億円の下振れとなった。

     11年10〜12月期(第3四半期)決算の低迷からみて、東洋経済ではこの会社数値ですら実現は
     厳しく、再下降する余地があると考えている。

     シャープが昨年10月に今期最初の下方修正を実施した際は、円高による太陽電池事業の下振れが
     減額の主因だった。今回は、国内テレビ、携帯電話事業、液晶パネル事業という3大事業(総売上高に
     占める割合は6割)の悪化が背景にある。

     順を追って見ていこう。
     テレビ事業は700億円の売り上げ下振れ(10月の修正計画対比、以下同)を織り込んだ。
     従来、シャープが予想していた11年10月〜12年3月(下期)の国内テレビ販売台数は230万台と
     前年同期比6割減。地デジ需要の消滅を十分織り込んだものと思われた。しかし、フタを
     開けてみると、販売台数は7割減少(10月〜12月期の前年同期比)。販売価格的にも、32インチで
     2万円台のテレビが市場に出回った。結果、シャープの国内テレビ事業は10〜12月期には
     営業赤字に転落。テレビ事業の収益のほぼすべてを国内で稼いできた同社にとっては
     影響甚大である。

     携帯電話は200億円の売り上げ下振れ要因。今期の携帯電話販売台数は900万台(前期比
     7.6%減)から800万台(前期比17.9%減)へ下方修正した。うち、9割が国内向けだが、「アイフォーンに
     シェアを奪われている」(同社)ため、従来型携帯電話の落ち込みを自社のスマートフォン増販で
     まったくカバーできていない。(>>2-10につづく)
     http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120228-00000000-toyo-bus_all続きを読む

電気自動車とスマートグリッド

 電気自動車やスマートグリッドは今更説明するまでもないことだが、とくに電気自動車に関しては税金が無駄に使われている。容量が小さく寿命にも問題があり、なおかつ値段が異常に高い。電気自動車は構造がシンプルですでに量産化されているリチウムイオン電池を使っているにも関わらず値段が下がらない。更に充電に時間がかかり、走行距離はエアコンを使わずに省エネ運転してやっと200キロ行くかどうかしかない。自動車に使うにはあまりにも非現実的な技術で、今のままではハイブリッド以外では使えない。しかもハイブリッドでさえもホンダ方式(?)は評判がすこぶる悪い。
 そういう状況を打破する可能性のある蓄電池が実現化しつつあるようだ。日経新聞の10月17日の朝刊1面を見ると、マツダが電池の容量を2倍にする電極を試作したとか、NECが20年間の寿命を持つ電池を開発したり、トヨタともなれば同じ容積に数倍の電気をためることができ、なおかつ液体を使わない「全個体電池」を作ったという。これは発火防止材が必要ないために構造をシンプル化してコストを低減できるのだそうだ。そして走行距離は現在200キロのものを1000キロに延ばせる可能性がある。もちろんエアコンなどを使わない条件付きだろうが、実用化が現実化しているのは間違いない。
 とはいえ、コストの問題や充電時間の問題などはまだまだ不透明で、実現する時期はまだまだ見えていない。それでも長い目で見れば、確実に新しい自動車が生まれてくる環境が整いつつあるようだ。
 もし電気自動車が主流になれば、既存の自動車メーカーが無くなってしまうかもしれない。すり合わせがほとんど必要なくなってしまうから、多くの部品はモジュール化されて垂直統合型から水平分業型になっていく。そして自動車の分野でもデジタルがアナログを駆逐する道へと歩むことになる。既存の自動車メーカーの強みは販売網ぐらいしかなくなってしまうかもしれない。

 コストが低減され、容量が増えて寿命が延びて行けば、自動車にはすぐ実用化できなくても家庭にはすぐ使えるようになる。安い時間帯に電力をため込んで、電力を多く使う時間に蓄電池にため込んだ電力を使えば効率的な電力消費ができるようになる。そして電力会社も揚水発電をやる必要がなくなる可能性もある。
 これらは実用化にどれだけかかるか今のところ不透明ながら、一つの時代の終わりを迎える可能性が多少とはいえ出てきたようだ。

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アップルを作ったスティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズ この人は経済界では非常に有名で、日本人でも認識している割合は高いと思われる。iMac、iPod、iPhone、iPadなどを生み出し、業態を変化させながら成長してきた。かつてソニーがやっていた革新のお株を奪う経営は、かつての日本人が忘れてしまった(←というのは偏見)ものを思い出させてくれる。市場が形成されている製品に付加価値を付けていくのが技術革新であるかのごとく突き進んできた日本企業と、新たに市場を形成する商品を作り上げて先駆者になってきたアップルの違いというべきか。
 有名な話だが、アップルはファブレス企業で内部に工場を持たない。そのために機動力があり、失敗したものを日本企業のようにダラダラ作り続けなくても済む体質になっている。こういう体質になっている企業が日本に果たしてあるのだろうか?と言えば、実はある。有名なところでは任天堂やキーエンスがいい例だろう。工場を持たないことにより、最も安く企画した商品を作ってくれる会社に発注することができる。もちろん品質さえ保証されれば他国での生産も可能な機動力を持つ。そして企画に失敗したら簡単に撤退することができる。
 日本企業の多くが抱える問題とは無縁でいられ、そして失敗してもリストラ費用を計上する必要もない。更に雇用を守るために製品に余計な機能をつけて値段を保とうとして自滅することもない。製品はシンプルで必要以上に複雑化せずに安く製品を作り上げ、それを高く売る。こうして高い利益率で叩き出す。もし失敗しても簡単に撤退できる。これは工場を持っていて多くの雇用を抱えている企業には難しい。
 キーエンスの営業はユニークで、歩留まり率を高めるための提案をするために顧客の企業のラインを借りて研究し、必要な物だけを提供して要望に応える。自前の工場を持っている企業だったら、数をさばくために余計な物まで提供して顧客の費用が高くなり、やがて信頼を失ってしまう結果になるだろう。やがて工場の稼働率が悪くなって利益率も悪化する。ファブレス企業であるキーエンスなら数を無理にさばく必要もなく稼働率も心配する必要がない。
 かつてソニーのウォークマンが機能を落として小型化し、そしてポケットサイズにして値段も安くしたことで大ヒットしたことがあるように、今の日本企業に新たなイノベーションを生み出す能力がなくなったわけではない。問題なのはとりあえず技術屋の暴走を防ぐことが第一だろう。全員ではないが、技術屋は何でもかんでも最高の物を作りたがる傾向にある。しかもコストを無視した最高品質を目指して自滅する。日本の半導体がそうであったように、デジタル家電でもそういう傾向がみられる。かと言って失敗してもリストラ費用を計上すると会社の体力が落ちるから事業を簡単にやめることができないパラドックスに陥る。
 と、主題と関係ないことばかり書いたが、ハードウェアよりもソフトウェアの重要性を教えてくれる人物だったと思う。

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三橋貴明出鱈目理論32

日本の大復活はここから始まる! 日本の製造業は世界で評価されている。だから韓国企業なんて目じゃない。意味のない機能をいっぱいつけて高付加価値で売る商売に世界が注目する素晴らしいもの。なんて冗談みたいなことを信じているのが三橋という人物だ。
 とにかく日本は世界一で他の国は全部崩壊だと思い込みたいから、こういう現実を見れない歪んだ思想に陥るのだろう。それを象徴するのが韓国に学ぶなという文章だ。

 家電メーカーが韓国企業に勝てないという事実を前にして、最近では「日本企業は韓国企業に学ぶべきだ」という論調が出てきている。これは大問題である。そんなことはする必要はないし、してはいけない。(210ページ)

 もちろん全部学ぶべきではないが、少なくとも相手の良いところを学ぶのは大問題でもなんでもない。いちいち大問題と思うのは、いつまでも日本の製造業は最強だと勘違いしている三橋に代表されるネットウヨクの連中だろう。世界で日本の製品が売れずに韓国企業に後塵を拝しているという現実を見ることができずにいるようだ。だからこういう意味のわからないことを書くのだろう。

 巨大な内需を抱えている日本企業は、海外で売ることを考えるよりも、まずは日本でどうすれば売れるかを考えるべきである。(210ページ)

 という、世界での競争から逃げればいいという考えは、完全に日本企業がひどい状態にまでシェアを落としている事実から背を向けているだけで、日本だけで商売すれば問題ないなんて意味のわからない内容である。そして日本最強という妄想はこういう妄想も生む。

 日本の消費者は所得が高く、教養があり、世界一ともいえる目の肥えた消費者だ。昨日と価格を比べ、どうしても欲しいものだけようやく買ってくれるという、厳しい市場である。日本企業はこうした環境でもまれ、死に物狂いで競争力を身につけてきた。地獄の日本市場で生き残れたからこそ、世界でも通用する商品が作れるのである。(210ページ)

 別に日本の消費者が教養があって世界一目の肥えているから日本製品を買うわけではない。むしろ家電の日本ブランド信仰が今のところ強いだけであり、過去の遺でなんとか今も生きているだけに過ぎない。本当に目が肥えているのなら海外製品でも十分だ。そもそもデジタル家電なんてコモディティ化していて部品さえ集めれば性能なんて大差はない。
 とくに家電では世界に通用しない製品だらけになっていて、シェアをどんどん落としている。もちろん円高円安に関係なく毎年順調にシェアを落としている。何しろ世界で通用しないガラバコス商品ばかり作っているのだ。
 パナソニックがインドで物凄く売れている冷房を作ったが、これは良い製品を作ったからではなく、現地調査を徹底したことで不必要な機能を全部無くして値段を安くすることに成功してシェアを奪っただけである。
 日本の消費者は決して目は肥えていない。単にブランド信仰が強いだけであり、日本人の中ではサムスン電子やLGは蚊帳の外になっているだけの話だ。しかしサムスンは以前の失敗から学んでスマートフォンなどの方向から家電市場に切り込んで成功し出している。こういう流れがブランドとして定着してAV機器にも浸透するきっかけになったりする。そして日本製品も韓国製品も性能が全く同じとわかったら、日本ブランドのシェアを大きく浸食する可能性は十分にある。しょせんデジタル家電に性能の差なんてほぼ皆無であり、日本のブランド力はいつまでも日本国内で王者に君臨できる保障などどこにもない。
 いつまでも日本の消費者が日本ブランドを買い続ける保障なんてどこにもないし、三橋流の日本最強で韓国や中国は崩壊する理論はこんな妄想まで生み出すようだ。ここまでくると病的である。

 家電メーカーは、合従連衡(がっしょうれんこう)の末、いまや大手どころは、サムスン、LGの二社しか存在しないに等しい。自動車に至っては、現代自動車グループだけで、国内メーカーのシェアの80%を超えており、ほぼ独占状態だ。まともな競争相手がいないために売り手市場であり、技術革新も進まない。(211ページ)

 三橋が言うには、まともな競争相手がいないから技術革新が進まない。よくもまあ、こんな嘘を書けるものだ。競争相手なんていくらでもいる。トヨタ、日産自動車、ホンダ、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝、エルピーダメモリ、ルネサステクノロジーなどなど、サムスンやLGや現代自動車は日本だけでもこれだけの企業と競争している。
 そして韓国企業の技術革新が進まないとはどういう理屈なのだろうか?DRAMではサムスンに微細加工で後れを取り、液晶なんて完全に負けていて勝負にもなっていない。東芝なんかシステムLSI(高集積回路)をサムスンに生産委託までしている。ヒュンダイ自動車はトヨタのカンバン方式からリモートコントロール方式に変えたことによって、作業員個々人の差が出ない仕組を作って品質の向上につなげたことは有名な話だ。
 韓国企業は技術革新が進んでいないなんて嘘を撒き散らしながら、日本最強という妄想にうつつを抜かしているようでは問題がいつまでも見えてこないし、こういうネットウヨクの典型が政治家にならなくて本当に良かったとさえ感じる。それがよくわかるのが以下の文章だ。

 新興国が経済成長の主役となっているいま、先進国から見ればまだまだ所得の低い人たちが、テレビや自動車をはじめて買う際に有利なのは、低機能でもウォン安の恩恵で安い韓国製品であることは言うまでもない。(211ページ)

 韓国製品が売れるのはウォン安だから・・・。こういう考えが問題から目を逸らしている証拠である。円安ウォン高だった2006年あたりでも日本の製品はどんどんシェアを世界中で落としていっていた。そしてガラバコスと言われて問題になっていたことを三橋はもう忘れたのだろうか?
 円安ウォン高だった時代でもどんどんシェアを落としているのに、今韓国製が売れているのはウォン安だから・・・。と思い込みたいだけでしかない。問題から目を逸らし、くだらない言い訳じみた理由を考えるようでは何も始まらないことをわかっていない。そしてこういうわけのわからない意味不明な理想を書く。

 日本メーカーが韓国の真似をすると、標準化、画一化された、グローバルスタンダードの商品をいかに安く作るかという、価格競争に巻き込まれるだけである。まず、勝ち目はない。日本メーカーは、韓国メーカーの真似などする必要はない。原点に立ち返り、みんなで過当競争を続け、アイデアを絞り出すべきだ。合従連衡などせず、日本市場で世界のどこにもない、誰も見たことがない高度な製品をつくり出すべきなのである。(212ページ)

 もはや全く意味が分からない。世界のどこにもない高度な製品なんて随分と寝ぼけたことを書く。デジタル家電なんてモジュール化されてどこの国でもほとんど性能の変わらない製品ができるようになっているのに、日本独自で日本でしか売れない高度な製品だなんて頭おかしいのではないか?いったいぜんたいそれがどんな製品なのかぜひ見てみたいものだ。その地域の住宅事情やインフラ事情や経済事情に合わせた独自の製品ならばわかるが、高度な製品で世界のどこにもない製品を日本で売れという理屈を本気で言っているのなら、もはや頭がお花畑で現実逃避しているのと変わらない。
 日本は多すぎる家電メーカーを統合する必要がある。とくに完成品メーカーの統合が大きく遅れていてお互いを潰し合うように体力を奪い合っている。そうやって体力を奪われるから海外で広告に費やす資金ができずにシェアを奪われてしまう。国内での競争が日本より激しくない韓国企業の場合、販管費を多く獲得できるために様々な現地調査や広告に資金を投入できる。それが日本企業が持っていたシェアを奪う大きな原動力になっている。とくにモジュール化されているデジタル家電に性能差なんて皆無に等しいから、日本国内と違って海外では日本企業のブランドで売れるわけではない。
 日本市場で世界のどこにもない、誰も見たことがない高度な製品なんて夢を見ているよりも、どうすれば韓国企業に勝てるようになるかを考えるのが政治家というものであるはずだ。変な理想論で問題は解決しない。そしてまたまたわけのわからない理想論をこう書く。

 決して韓国企業の真似をしてはいけないポイントがある。寡占化が進んだことで、韓国企業ではオーナー経営者が、報酬以外に数十億円レベルの莫大な配当収入を得ている。もらい方はさておき、そのお金の源泉は会社の利益にほかならない。要するに、韓国はアメリカ型の経済に近づきつつあるのだ。(212ページ)

 何をもってアメリカ型なのかよくわからないが、株主至上主義をアメリカ型と勝手に定義しよう。そして日本型は株主よりもサラリーマン経営者やその従業員の方が偉いという仕組で、株主は経営に口出しできない状態と勝手に定義しよう。
 実際問題として日本の場合は株主が経営に口出しをする例はほとんどない。アメリカなら株主が社長を外部から呼んでくることは多いが、日本の場合、株主に関係なく社内からの生え抜きを選ぶ傾向にある。それで日本企業が強くなったかと言えば甚だ疑問だ。生え抜きだから組織に縛られた経営しかできない。せいぜいオーナー社長しか自由に経営できないのが日本という企業文化だ。
 日産自動車のように倒産寸前にまで追い込まれた企業は、最後の最後に組織とのしがらみのない人物が株主の意向によって呼ばれて復活を成し遂げたが、日本の企業は倒産寸前までいかないと組織が目を覚まさないようだ。本当は追い込まれる前に目を覚まさなければならないが、社内政治の中で台頭したような、組織でナアナアでやってきた社長に改革することが難しいのだから、決して日本型経営がいいとは言えない。
 戦後日本企業が成長できたのは日本型経営だからではなく、安い人件費を利用して労働集約型の人海戦術中心に成長できていただけに過ぎない。決して日本人が特別手先が器用で優れているからではない。そこらへんを唐津の本を読んで勘違いを起こしているのが結構いるようだが、ミクロン単位の加工なんて韓国人だろうが中国人だろうが訓練すれば誰でもできる。
 そして何より、大株主が配当収入を得ることを悪とする論調が理解不能だ。会社は従業員のものではなく株主のものである。こんな当たり前なことを忘れて株主が潤うことを悪とする三橋は共産党から立候補したほうがよかったのではないか?
 利益が出ないから株価が下がって逆資産効果で株主は苦しむことになる。そして利益が出ないから配当も少ない。ただでさえ株主の力が弱い日本では配当性向が低いのにも関わらず、利益まで出ずに株価も上がらないダブルパンチだ。その状態を三橋はこう評する。

 ソニーやパナソニックに利益が出ないことで、誰が得しているのか。それは間違いなく安価で最高品質のモノを手に入れている日本国民、日本の消費者なのだ。(213ページ)

 これこそ脳内妄想である。安価で最高品質の定義がわからない。具体的に日本製のどこが最高品質なのかをぜひとも説明してもらいたい。それにしてもTPP反対で、日本人は高価で品質も疑問な穀物を買えという理屈と正反対なことを書くのだから笑えてしまう。
 ちなみに最高品質とやらは技術者の自分よがりなことが多いのは今更言うまでもない。8チャンネル同時録画なんて意味のない機能をつけたからって、プログラミングに物凄い費用がかかって全く売れなかったし、3Dテレビなんて昔からある技術の焼き直し製品を誰も買わなかったし、今後も誰も買わないだろう。
 こういう無駄が多いから無駄な研究開発費も膨らむだけだというのに、三橋はわけのわからない理屈をこう書く。

 過当競争のおかげで、日本のGDPに対する研究費の割合は世界最高である。この文化、風潮を失ってはいけない。日本が3.62%で首位。意外なことに、韓国は2位である。韓国も頑張っているという見方もできるが、質が全く違う。韓国企業は、独占的な利益を獲得して研究費に投じている。日本は過当競争で勝ち残るために、少ない利益から莫大な研究費を出しているわけだ。(213〜214ページ)

 本当に日本企業は研究開発費が製造業分野ではやたらと多い。部品メーカーが多いから、完成品メーカーの規格に合わせるためにどうしても研究開発費が増える傾向にあるが、みんなで同じような製品を作るから、お互いが似たような研究開発をして無駄なことをやっていることも一つの要因としてある。
 最近は例えばシャープが独自にテレビ用のシステムLSIを作るのをやめて、東芝から調達するようになったり、その東芝もシステムLSIをサムスンから調達するようになるなど、無駄な研究開発費を抑える努力をし出してはいる。しかしM&Aが少ない日本だと無駄が省かれるのはあまりにも遅い。
 その裏で、韓国メーカーはみんなで似たような研究開発をやらないから効率的な研究開発が可能になっている。これも販管費を日本企業より増やせる理由だ。そして販管費が多いからシェアを奪いやすい。シェアを奪えばバイイングパワーが出てきて部品の調達コストを抑えることができる。それが更なる利益の押し上げ要因となって販管費を増やせる。そしてそれが更にシェアを奪うという好循環を生んでいる。
 過当競争に勝ち残れるように日本もすべきだが、三橋的な考えでは企業は利益を出さない方がいいのだから、その時点で話にもならず論外である。そして論外な結論も相変わらずドマクロとなるから笑わせる。

 確かに頼みの国内市場がデフレなのは、いかに日本の家電メーカーと言えども頭の痛い問題だろう。だからこそデフレから一刻も早く抜け出せるよう、内需を奮起すればいいだけなのだ。(216ページ)

 これも何度も書いたことだから今更という気もするが、家電製品はインフレ時代だろうがデフレ時代だろうが量産化が進めば絶対に価格は下がる。日本がインフレだった時代だってAV機器の値段は下がり続けてきた歴史がある。インフレが起きている国でもとくにデジタル家電の多くは値段が急速に下がったのは説明するまでもない。まさか日本がインフレになれば家電の価格が上昇するとでも思っているのだろうか?過去のAV機器がインフレでも値段が上がらなかった過去についての説明をぜひ聞いてみたいものだ。
 そして最後はこういう意味のわからない結論を書く。

 決して、グローバル市場に最初からこだわってはいけない。韓国は典型例だが、実質賃金が上げられなくなってしまう。韓国は2009年、OECD加盟国の中で、アイスランドの次に実質賃金が下がった国である。サムスン電子や現代自動車は儲けているのに、国民はその分け前を得られない国なのだ。それで国民は幸せを味わえるのだろうか。(216ページ)

 グローバル市場にこだわるなとは意味がわからない。嫌でも製造業は世界との競争に晒されることを理解していないようだ。まさか日本は鎖国すればいいとでも思っているのだろうか?鎖国をしたら資源のない日本では江戸時代のような生活になってしまうが、本気でそれでもいいとでも思っているのか?
 ここで実質賃金を持ち込んで強引にグローバル市場を否定する屁理屈ぶりには恐れ入るが、それとこれとは話が別だ。鎖国をすれば日本は何も生産できなくなって一気に超貧困国になるだろう。餓死者が大量に出て大飢饉になることは目に見えている。
 TPPに反対したり保護主義、鎖国を主張したりと、三橋は生産性の低い農家を守ることばかりでむしろ日本という国を弱体化させようと考えている。よくこれで日本のグランドデザインだなんてアホな妄想を抱けるものだと感心さえする。こんなバカな本を読んで感心しちゃう人は受け身ではなく少し自分で考える力を持った方がいい。

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三橋貴明出鱈目理論19

日本の大復活はここから始まる! TPPに反対する理由を考えるために、いい加減かつ適当なことを平気で言ってのけるのが三橋に代表されるチャンネル桜に登場する連中の特徴だろう。中には文化だとか社会的つながりだとか、国土の大切さなんてわけのわからない理由でTPPに反対する意味不明さには恐れ入る。そして三橋も同様に意味不明なことをこう書く。

 資本財は円高への耐久力が強い。もちろん円高になれば、海外の購入先は日本への支払いが厳しくなってくることは確かなのだが、資本財は調達先を簡単にかえられない。円高になったからといって、日本からの設備をすぐにアメリカ製にチェンジしよう、とはならないのだ。韓国企業がその典型だ。日本から資本財を買い、それを使って新たな資本財や耐久消費財を生産し、海外に輸出するというモデルなのである。結果、韓国は輸出が多い分、輸入も非常に多い。(83ページ)

 資本財が円高の耐久力が強いかどうかは視点がおかしい。円高円安に関係なく早さと正確さと、いかに大量生産によるコストダウンが可能になるためのシステムを構築するかの問題となる。もちろんデファクトスタンダード化していて、完成品メーカーがその部品にあった規格で製品を作らなければならない場合もあるが、そんなもの今時稀である。ナノクラスの加工が可能なマザーマシンは別格しても、ほとんどの資本財は完成品メーカーの規格に合わせて資本財や生産財を作る。注文を受けて、相手が望む規格に対していかに安く設計して仕上げるかが勝負であり、あとはプレス加工中心だから、そこまでくれば多少の円高でも大きな影響は出ない。むしろ円高によって素材が安く手に入るから、円高によるマイナスは結構相殺されてしまう。
 そして何を勘違いしているのか知らないが、完成品メーカーは資本財や生産財を作るメーカー以上に通貨高には強い。なぜなら通貨高になれば安く海外から部品を輸入することができる。そしてシェアを高めれば高めるほど部品メーカーに対して価格支配力を持つことにもなる。
 何回も書くが、ウォン高の時だって日本の完成品メーカーはサムスンやLGに海外でぼろくそにやられていたのは記憶に新しい。それなのに三橋の脳みそだと円安になれば日本の完成品メーカーも競争力を取り戻すから、TPPに参加する必要がないという愚かな結論となっている。もはや現実に起きている出来事から目を背け、ドマクロの発想で日本は最強だと思い込む愚かな夢想家になっているのだろう。それをよくわかる文章が以下だ。

 企業が購入する資本財は、円高で少々高くついても、容易には変えられない。資本財供給元を変えた結果、自社の生産が立ち行かなくなったり、品質が低下したりした場合のリスクが大きすぎる。ようは一度買ったら、同じメーカーから買い続けることになるのである。(84ページ)

 どうやら今の完成品の商品サイクルの早さを理解していないようだ。今でも同じ規格で作った完成品が何年も店頭に並んでいるとでも思っているのだろうか?それともお金に苦しんでいるために、出鱈目な理論のオンパレード本を粗製乱造するために家電屋に行く暇すらないのだろうか?現場を全く見てないから現実が見えないほどに盲目になっているのではないだろうか?
 資本財の種類にもよるが、もし円高で海外の資本財が安くなったら次世代移行時に部品メーカーを変えればいいだけの話だ。もちろん製品の種類にもよるが、次世代へ移行する期間は長くて1年。短いものは半年もあるかどうだ。商品サイクルの短さは資本財メーカーの価格支配力を完全に削いでいる。そして凡庸品ともなれば、日本企業の歩留まり率の悪さから韓国メーカーに後塵を拝しているのも現実としてある。つまり品質面でも一部韓国に負け出している。というよりも随分前からこういう現象は起き出している。こういう現実がわからないこそ変な結論をこう出すのだろう。

 一方で、一般の消費者が買い求める消費財は、価格がビビッドに影響する。アメリカの量販店で、サムスンのテレビが、おなじインチ数のソニー製品の半額で売られているとすれば、多少機能が劣っていようと、余程のことがない限りサムスンを買うだろう。最終消費財の競争では、為替レートが露骨に響いてくることになる。しかし、資本財はそうではない。円高でも、日本が貿易黒字を保っていられる最大の理由である。(84〜85ページ)

 円高でも貿易黒字の理由は、国内メーカーのブランドが日本人に対して異常に強いこと。性能が変わらないのにサムスンやLGのテレビは全く売れないし、日本車より値段の安いヒュンダイの小型車も全くと言っていいほど売れない。それほどに日本人は日本のメーカーの物を買ってくれる。ただそれだけの話である。
 そして海外では日本の完成品メーカーの競争力があまりないから、テレビなどは値段がサムスンより安くても日本メーカーの物が売れなくなってきている。というのはニュースでよく聞く。それほどに完成品の日本メーカーの商品力が落ちている。そして為替レートは垂直統合型でやっている日本メーカーに直接効きやすい。しかし水平分業型でやっているサムスンやLGは通貨高を利用して海外から安く部品を調達できるから、ウォン高は大きくは響かない。
 そして完成品が売れないことによって、資本財や生産財などの輸出比率が高くなっているだけに過ぎない。むしろ日本メーカーが過去のしがらみから手を切ることができずにいることが、資本財などの比率が大きい理由ではないのか?
 今の日本が円高でも貿易黒字なのは、景気が悪いこともあるが、日本人が日本メーカーの商品ばかり買うのが大きい。もしこれが崩れて韓国製や海外製に対して偏見が無くなれば、貿易黒字なんてあっという間に消えてなくなるだろう。自動車に関しても、日本ほど外車の比率が少ない国はない。これが他国並の比率になったら状況は大きく変わってしまう。しょせんその程度の話に過ぎない。

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280馬力規制が無くなって7年、国産スーパースポーツカーは復活するか?

GT-R 最大280馬力までというわけのわからない規制のせいで、日本のスポーツカーに魅力が無くなって久しい。本当はもっと高性能にできるはずなのに、おかしな規制のせいでわざわざデチューン(←スペックを落とすという意味)して販売していたとすら思えるものだった。
 性能を向上させるためにポン付きタービン(過給機)に交換するなど、わざわざ改造する必要があった。本当ならもっと魅力的な自動車を作れるはずだったのに、日本車にだけ暗黙の規制をかけて魅力を失わせたのは言うまでもない。官僚の意向なのか警察の意向なのかはさっぱり分からないが、規制をかけるのなら日本車だけではなく外車も対象にすべきことだったはずだ。いつしかスーパースポーツカーが好きな人から日本車の選択肢が消えて行ったのは否定のしようがない。
 スーパースポーツカーを好んで買う人というのは超大金持ちであることが多い。とにかく一番優れた物を金に糸目をつけずに買う。値段が安くて性能がいいだけでは決して満足してくれない。値段が高くてもとにかく一番性能のよい自動車を買うのだ。280馬力規制なんて意味のわからないことをやっていたせいで、いつしかスーパースポーツカー好きの金持ちにとって興味の対象から消えてなくなった。
 ところが2004年にホンダのレジェンドが初めて280馬力規制の壁を破って300馬力となった。どうして280馬力規制という不思議な暗黙が破られたのか謎だが、これを皮切りに規制の壁が完全に無くなったかのようにいろんな車種で馬力が引き上がった。とくにGT−Rのような競争力を失っていた日本を代表するスーパースポーツカーが一気に息を吹き返した。今まで280馬力規制に縛られて限界が見えていたが、R35から485馬力にまで大きく伸びたことによって、フェラーリはおろか、ポルシェのGT2すら脅かすほどに早くなって世界を震撼させた。何しろR35のスペックVのニュルブルクリンク(←ドイツの有名なサーキット)のタイムにポルシェがクレームまがいな嫌がらせをしたほどである。
 こういったことを見ていると、わけの分からない規制を日本車にだけ適用する愚かしさのおかげで、どれだけ自動車メーカーが割を食ったのか想像に難しくはない。本来持っている潜在能力を規制によって発揮できずに外車に後塵を拝してきた歴史は今後に生かされるべきだろう。
 とは言うものの、280馬力以上のパワーが実用的じゃないから規制を敷いたのだろうと想像できる。実際に普通に乗る分には全く意味がない。せいぜい高速道路の合流の時にもしかしたら役立つかもという程度だろう。しかし、人間の欲は無限であり、限りなくレーシングカーに近い動力に憧れるのは本能と言ってもいい。危険な改造車への規制ならともかく、日本車にだけ変な規制を敷くのは競争力を削ぐ要因である。
 2010年に改良されたGT−Rは0→100キロを3.0秒で達するほどに性能が向上したのだそうだ。わけのわからない規制が無くなったからこその目覚ましい発展である。ここまで早くなると、以前は直線だと勝てなかったフェラーリ599やポルシェGT2やシボレー・コルベットZR1や国産最強のLexus LFA (←3750万円の世界で500台限定車)にも勝てるのではないか?しかも869万円で買えるというコストパフォーマンスは言うまでもなく世界一だ。
 今後はホンダがアキュラブランドを立ち上げる時にNSXが復活する可能性も巷では言われているようだし、トヨタではスープラ=Lexus LCを開発中で、たぶんGT−Rに対抗するスーパースポーツカーとして復活するはずだ(あるいはSC=ソアラのようなラグジュアリーカーになるかもしれない)。

 もう一つ180キロ規制というものがある。これに関しては非常にいい規制だと思う。しかし納得できないのは、どうして外車にこの規制を敷かないのかだ。時々200キロ以上出している外車がいるが、こういう信じられないような危険な運転をする人間がいるのだから、外車にも適用すべきだ。GT−Rのように、サーキット場のみリミッターを解除するような規制を早く敷いてほしい。それと、スピードリミッターをカットしている自動車は全部罰金を取れるようにして、車検も通せないような規制を作るべきだろう。
 高速道路の合流や今後の速度規制緩和などを考えても個人的には150キロ規制でもいいと思っている。どう考えても180キロも出す場面なんて想像がつかない。

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CMオートカット機能を無くすらしい

 CMカット機種、生産中止へ…民放批判に配慮

 録画番組を再生する際にテレビCMを自動的に飛ばす「CMオートカット機能」がついたレコーダーやテレビが、姿を消す見通しになった。

 大手電機メーカーでこの機能を備えた製品を生産している三菱電機と東芝が、春以降の新製品に、この機能の搭載をやめる。地上放送の完全デジタル化で、再生時にCMを確実にカットできるようになるため、民放各社で組織する日本民間放送連盟が問題視していたことに、電機大手が歩み寄った格好だ。

 CMオートカット機能を備えたレコーダーなどは、購入段階から、リモコンなどで操作しなくてもテレビCMを飛ばして再生する設定になっている。

 最初の機種は、三菱電機が1990年に発売したビデオデッキだった。現在は、三菱電機が録画機能を備えた液晶テレビ「リアル」と、ブルーレイディスク(BD)レコーダーの全機種に搭載している。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110209-OYT1T01129.htm?from=main1
--------------------引用終了--------------------

 需要のある機能をわざわざ無くす意味がどこにあるのだろうか?家電メーカーがテレビ局に気を使う理由が理解できない。池田信夫氏も書いていることだが、この機能を無くしたところで30秒スキップを何度も押してCMをカットするだけの話である。
 テレビ局は時代に合わせてCMだけに頼らない収益構造を早く構築すべきだし、オンデマンドでも有料配信でも他の国で行われていることを物真似してみてはどうだろうか?時代に逆行させようと頑張ったところで収益が回復することはないのだから、CMカット機能を無くしたところで何も問題は解決しない。
 東芝や三菱電機も断末魔状態のテレビ局に配慮して何か益でもあるのだろうか?ガラパコスを自ら推し進めたらそこれこそバカの極みだ。

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